「UFOの大群きた!」自衛隊は戦える? アメリカじゃ大マジメのUFO調査 日本はどうか

アメリカでは、目撃したと証言する元軍人も招致してのUFO公聴会が開催されました。UFO襲来を現実問題と捉え対応を模索しています。では日本はどうでしょうか。いざというときの、自衛隊の対応方法を紹介します。

UFO調査に真剣に取り組むアメリカ

 2023年7月26日、アメリカ連邦議会の下院において、未確認飛行物体(UFO)に関する公聴会が開催されました。この公聴会が開かれたのは今回が3回目ですが、これまでは政府の官僚や要人が参考人として招致されていたのに対して、今回は実際にUFOを目撃したと主張する元海軍パイロットなども出席したため、注目が集まりました。

 このように、アメリカでは近年UFOを現実的な問題として捉え、これに対応しようという試みが強化されてきています。たとえば、2019年にはアメリカ海軍の戦闘機や艦艇から撮影されたUFO動画が公開され、こうした「未確認空中現象(UAP)」の調査を行う「UAPタスクフォース」がアメリカ海軍内に設立されました。さらに2021年には、これを前身とする新たな組織として、「空中物体特定及び管理同調グループ(AOIMSG)」が創設されました。AOIMSGでは、各軍種やほかの政府機関を含めたあらゆる機関から集まった情報を分析し、国家安全保障などへの脅威を分析するとされています。 こうした真剣な対応の背景には、他国が打ち上げた物体である可能性を考慮した安全保障上の必要性や、国民の間で政府が何かを隠しているという陰謀論がこれ以上展開されることを防ぎたい、という思惑があるようです。

UFOに対する日本の対応は

 一方で、アメリカの同盟国である日本では、UFOに対してどのような対応がとられているのでしょうか。残念ながら、現在のところ日本ではアメリカのような目に見える形での取り組みはなされていないのが現状です。2020年に当時の河野防衛大臣が、自衛隊の部隊に対してUFO目撃時の報告を指示して以降、何らかの専門機関が設立されたというわけでもありません。 それでは、もしUFOが日本の上空に現れた場合には、自衛隊はどのように対応することになるのでしょうか。ここでは、日本の周辺に設けられている「防空識別圏(ADIZ)」にUFOが突然現れたと仮定して、話を進めます。

 まず、全国に配置されている航空自衛隊のレーダーサイトがUFOを探知し、これが事前に飛行が計画されているどの航空機にも当てはまらないと判断されれば、国籍不明機とみなされます。これを受けて、航空自衛隊の戦闘機が緊急発進(スクランブル)し、対象の確認に向かいます。 その後、UFOは日本の領空に向かってぐんぐん接近し、ついに領空を侵犯しました。この時点から、自衛隊機は「領空侵犯に対する措置」(自衛隊法第84条)を実施し、無線通信やハンドサイン、翼を振るなどして、領空外への退去か、あるいは誘導に従って近隣の基地に着陸するよう伝達します。

必要であれば武器使用も可能

 このとき、もしUFOが抵抗してきた場合には、当然、自衛隊機も武器を使用することが可能です。自衛隊機が武器を使用できるのは、(1)相手が実力をもって抵抗してきた場合(正当防衛型)、および(2)国民の生命や財産に被害がおよぶことを防ぐ場合(緊急避難型)の2つのケースで、UFOが自衛隊機を直接攻撃してきた場合には前者、地上に向かって攻撃を始めようとした場合には後者に基づき、それぞれ武器を使用できます。

 また、もしUFOが大挙して襲来し、地上に甚大な被害を与えたような場合には、対領空侵犯措置を実施するまでもなく、これを日本に対する武力攻撃(武力行使の最も重大な形態)とみなして、自衛隊法第76条に規定される「防衛出動」が下令される可能性もあります。しかし、相手の素性が不明確であるため、これを一種の「グレーゾーン事態」とみなして、警察力を補完する形で自衛隊の部隊が出動する「治安出動」による対応も考えられるでしょう。 今後、もし自衛隊機がUFOを目撃した場合、それが中国やロシアの新型装備という可能性も当然考えられることから、防衛省内で報告されると同時に、アメリカ軍とも情報が共有されることになるのかもしれません。今や、UFOは単なる空想科学の産物から、より具体的な脅威へと変質している、といえるのではないでしょうか。

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