
<フリードグループ・スコティッシュ女子オープン 初日◇3日◇ダンドナルドリンクス(スコットランド)◇6494ヤード・パー72>
落ち着いた様子で、淡々とバーディを刻んでいく。渋野日向子の第1ラウンドは、こんな様子で進んでいった。「ちょっとびっくりした~(笑)」と声を弾ませたボギーフリーのラウンドは、スタートホールとなった10番でピン左2.5メートルを沈めてのバーディが号砲になった。
昨年予選落ちを喫したリンクスでのプレーだが、序盤からキレのあるショットでチャンスを量産した。13番のパー4は、2打目をピン手前1メートルにつけてバーディに。するとそこから14番、15番で50センチ、さらに16番も1.5メートルとベタピンショットを連発し、それを沈めた。
この4連続バーディに加え、後半にも6番からの3連続があったが、リアクションといえばキャップのつばに手を触れて歓声に応える程度。とにかく落ち着き払った姿が印象に残る一日だった。それは「風も強かったし、そんなにガツガツ攻めるシチュエーションではなかったので、かなり冷静にできていました」と、本人も認めるところだ。
前半15番パー3で50センチにつけて奪ったバーディは、ティショット後に「ちょっと(当たりが)薄かった」と首をかしげた一打がチャンスについたもの。ひとり飛び出す形になる好スコアを出しても、「要所要所いいショットはあったけど、ラッキーなのもあった」と口調も落ち着いている。ただ、そのなかでも「パーオン率も高かったし、縦距離も合っていた。ドライバーが散っても、そこから冷静にできたしよかった。力まずにできたのはすごくよかった」と、うなずけるショットが少しずつ増えていることは実感できる。
フェアウェイキープ数は14ホール中9ホールだったが、パーオンは15回成功。さらに26パットとパターが安定したことで、いい流れが加速した。アンジュレーションに富むグリーンについては開幕前に「うるさい」と表現していたが、そこもやはり「冷静にしっかり打てていた。そんなに大きなミスもなかった」とパッティングがスコアメイクの肝になった。
「64」というスコアは今年の「LPGAドライブオン選手権」の第2ラウンドでも出した自己ベスト。2位に2打差をつけ、8アンダーの単独トップに立った。渋野の単独首位発進は、1年前に「65」をたたき出した「AIG女子オープン」(全英女子)以来。いわずもがな2019年には全英女子を制覇。英国との好相性ぶりを、またしても見せつけたことになる。
先週の「エビアン選手権」での予選通過は、日米通じて6試合ぶりのできごと。苦しんできた間も試行錯誤を続け、戦える形を作ろうと、もがいてきたひとつの結果といえる。ただ頭に浮かんでくるのは、「まだ一日よかっただけ」。2日目は、スタートから強風が吹く可能性が高い午後組でのプレーとあって耐える場面が増えることも十分に考えられる。それでも力みを抑えたショットなど、意識する部分は変わらない。復調への狼煙は上がったようにも思えるが、これに一喜一憂はせず、続くラウンドを見据える。(文・間宮輝憲)