「ほぼ自転車扱い電動キックボード」見てきた! 7月施行「特定小型原付」 歩道走れるナルホド装備

改正道路交通法がまもなく施行され、電動キックボード等を想定した新区分「特定小型原付」が誕生します。歩道も走れるようになる電動キックボードは、装備も変わります。ただ施行間近にも関わらず、メーカーはやきもきしているようです。

電動キックボード「歩道モードですよ」を示すための装備とは

 自転車や電動モビリティの展示会「バイシクル Eモビリティシティエキスポ2023」(旧バイシクルシティエキスポ)が2023年5月12日(金)、13日(土)の2日間、東京都内で開催されています。そこで、「ほぼ自転車扱い」となる新ルールに対応した電動キックボードなどの具体的な機体を見ることができました。 これは、7月1日の改正道路交通法施行で誕生する「特定小型原動機付自転車」という新区分に対応したものです。原付と自転車の中間的な区分で、これまで主に原付の区分を当てはめていた電動キックボードなどの新モビリティに当てはめることが狙いです。

 最高速度20km/h以下、普通自転車と同じサイズで法規対応した機種は、16歳以上であれば運転免許不要で乗れるようになります。ヘルメット着用は努力義務で、強く推奨はされるものの、着用しなくても違反にはなりません。また、特定小型原付はナンバープレート(課税標識)も新規に設定され、10cm四方の小さいプレートが取り付けられるのも特徴です。 さらに、最高速度6km/hまでなどの条件で、歩道の走行が可能とされています。この歩道走行時の特定小型原付は「特例特定小型原動機付自転車」と区分されます。電動キックボードなどのモビリティは速度制御を容易に切り替えられるため、最高6km/hまでの“歩道モード”へ切り替えるようなイメージになるでしょう。 今回の展示会にて、それに対応した電動キックボードの実機を持ち込んだAcalie(名古屋市)のブースで、特徴を聞きました。 通常の原付としての電動キックボードを特定小型原付に対応させた「COSWHEEL MIRAI T Lite」には、ヘッドライトの他に、緑色の「最高速度表示灯」が設けられています。最高速度20km/hのモードならば常時点灯ですが、一度停止し、ハンドルの操作盤で最高速度6km/hのモードに切り替えると、フロントとリアの最高速度表示灯が点滅します。 これが歩道モード(=特例特定小型原付)を対外的に示す“証”というわけです。クルマでいえばハザードランプを点滅させながら走行するようなイメージです。

え、特定小型原付これだけ? メーカーがやきもきする理由

 乗りものとしての不安定さや危険性も指摘される電動キックボードですが、免許不要で気軽に乗れるようになることもあり、そのニーズへのメーカーの期待は大きいようです。 もちろん、特定小型原付は電動キックボードに限りません。今後様々なタイプの機種が出てくると考えられます。今回の展示会では、電動バイクや電動アシスト自転車で、安定性をウリにした3輪のモデルが多く出展されていたのも特徴でした。 ただ、今回の展示会で特定小型原付に対応した実機を見ることができたのは、前出したAcalieのブースのみでした。施行が7月に迫っているのに、意外なほど少ない――これには、メーカーもやきもきする理由がありました。 というのも、国から特定小型原付の性能認証を受けるための申請が4月から始まっているのに、遅々として「認証が下りない」「受理すらされない」という声が複数のメーカー関係者から聞かれました。初めての制度とあって、関係当局も対応に苦慮しているようだといいます。

 また、特定小型原付の小さなナンバープレートも、実物がまだできていません。総務省も対応が間に合わないことを想定しており、3月の時点で、国土交通省が定める「性能確認済みシール」で特定小型原付であることを証明する暫定的な運用もあり得ると話していました。新しいナンバープレートを取り付けるには専用のステーを作成する必要があることから、この点でもメーカーが対応に追われる可能性があります。 あるメーカー関係者は、「なし崩し的に制度がスタートすることで、正規の認証を受けない違法な機体が増えることが危惧される」と話していました。

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