
<ワールドレディスチャンピオンシップ サロンパスカップ 2日目◇5日◇茨城ゴルフ倶楽部 西コース(茨城県)◇6780ヤード・パー72>
メジャー仕様の難セッティングの中、吉田優利は「71」、「69」とただひとり連日アンダーパーをマーク。トータルスコアは唯一のアンダーとなる4アンダーで、2位に4打差をつける単独首位で決勝ラウンドを迎える。ショット、パットともに状態がいいことが分かるが、練習法にその秘密があった。
今大会60台1番乗りとなる「69」をマークした第2ラウンドを終えた吉田は、打撃練習場に向かった。手に持つアイアンのシャフトの真ん中付近に、ティペグの先端が目標に向かうようにつけられていた。今週は練習日から行っている。
この意図について吉田を指導する辻村明志コーチは、次のように説明する。「昨年もやっていた練習です。ダウンスイングで手元が浮いてシャフトがアンダーから捻じれて下りてくると手を返しすぎたり、(ドローの)曲がり幅が大きくなります。それを矯正するドリルです」。
アドレス時にターゲットを確認するものではなく、ダウンスイングでティペグが目標方向を指すように下ろす意識を持つことで、手元が浮かずに早い段階でオンプレーンとなる。手元が浮くとティペグは右方向を指す。ティペグが目標方向を指すイメージで、吉田の持ち球でもあるストレートに近いドローボールになる。「他にも意識していることもありますが、それも意識しながら、(辻村)コーチと相談してその日その日でスイングを作っています」。吉田は辻村コーチと二人三脚、その日の状態に合わせてショットを調整している。
また、この2日間スコアメイクに一番つながっているパッティングについては、「ライン取り、(ボールの)回転、(ボールの)スピード」の三大要素が合致していることが多く、「気持ちよくストロークできている」と吉田自身も高評価をつける。
吉田はラウンドの前後でパッティングの欠かせない練習がある。長さ1メートル弱ほどでボール幅ぐらいの鉄板(レール)を使ってボールを転がす。きれいな順回転ならレール上を転がってカップインする。回転が悪かったり、フェースが開いたり閉じたりするとレールから落ちてしまう。
この鉄板は5年ほど前に辻村コーチが吉田に勧めたものだ。「優利がいいときはボールに描いた線が一直線になって真っすぐ転がります。レールの上を転がすのはその練習の一つ」と解説する。「レールの上に乗っていれば、『自分は1メートルの距離はしっかりラインに打てている』と自信になります。ただ、レールの上を通っていなくても何かを教えてくれます。『今日は滑るな』とか、何かを見つけられるので少しのズレでも分かります。ですから、すごく調子が悪くなる前に改善できます」と辻村コーチが付け加える。
速さを表すスティンプメーターは13.5で、超が付く高速グリーン。狙ったところに打つためには打ち出しのラインとボールの回転が重要になるが、レール練習をすることがつながっているともいえる。継続は力なり。レール練習をすることで「もともと感性はいいものを持っている選手。最近はストロークも格段によくなりました」と辻村コーチも太鼓判を押すいい状態でメジャーを迎えられている。(文・小高拓)