「相鉄・JR直通線」の鶴見駅停車が難しい「2つの理由」とは 沿線の要望にJRが回答

相鉄・JR直通線の停車を求める沿線自治体の要望に対するJR東日本の回答が明らかになっています。実現にはどのような課題を解決する必要があるのでしょうか。

沿線自治体や市民団体が「相鉄・JR直通線」鶴見駅停車を要望

 2019年に開業した相鉄・JR直通線。同線は、羽沢横浜国大駅(横浜市神奈川区)を出ると、東海道貨物線を経由して武蔵小杉駅へ到達します。途中、鶴見駅付近も通りますが、プラットホームはなく、通過となっています。京浜東北線と鶴見線しか停車しない同駅に相鉄・JR直線の停車を求める声がありますが、果たして実現するのでしょうか。

 鶴見駅への相鉄・JR直通線の停車をめぐっては、神奈川県や県内市町村、経済団体などで構成する「神奈川県鉄道輸送力増強促進会議」や市民団体「鶴見駅中距離電車停車等推進期成会」がJR東日本に対して要望活動を行っています。 2023年4月4日、「神奈川県鉄道輸送力増強促進会議」が前年11月に行った要望結果が公表され、その中で「相鉄・JR直通線」鶴見駅停車の要望に対するJR東日本の回答が明らかになっています。 それによるとJR東日本は「鶴見駅への相鉄・JR直通線の停車については、駅構内にホーム新設スペースがないことから大規模な施設改修が伴うことや、貨物輸送への影響が大きいことなどから関係自治体のご協力が不可欠である長期的な検討課題と考えています」と回答しています。

ホーム設置工事が貨物輸送にどう影響?

 JRの回答の2つ目にある「貨物輸送への影響」とは、具体的にどのような影響なのでしょうか。 JR東日本によると「東海道貨物線を走行する貨物列車は、ほとんどの列車が鶴見駅を経由し、多方面へ貨物輸送を行っており、東海道貨物線の鶴見駅は貨物輸送にとって非常に重要な駅です」としたうえで、「工事を行うことになった場合、工事期間中多くの貨物列車に対して時刻を変更しなければならず、また、大規模工事の場合には貨物列車の運行を取りやめなければならないことから、荷主も含め大きく影響を及ぼす可能性があります」と話します。 京浜東北線と鶴見線しか停車しない鶴見駅ですが、周辺では東海道貨物線が羽沢方面からやってきて東海道線へ合流し、さらには横須賀線・湘南新宿ラインも走る新川崎・西大井経由の「品鶴線」が北西へ分岐していきます。まさにここは貨物輸送にとっての要衝でもあるのです。 沿線自治体が相鉄・JR直通線の鶴見駅停車を要望する背景には、公共交通ネットワークの利便性向上だけでなく、鶴見区南部の末広地区が「京浜臨海部ライフイノベーション国際戦略特区」として位置付けられており、その表玄関となる鶴見駅の機能強化を図りたいという思惑もあります。 ただ、相鉄・JR直通線の鶴見駅停車を実現するためには先述の「大規模な施設改修」と「貨物輸送への影響」という課題を解決する必要があり、なかなかハードルが高そうです。

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