もうすぐ青信号と思ったら「赤で“←↑→”」だった ナゼ? ちょっとしたら青に

赤信号から青に変わるタイミングで、青ではなく赤のまま「←↑→」の矢印信号が点灯する交差点があります。現地の状況から、その“意味”が見えてきました。

すぐ青にせずに「←↑→」 なぜ?

 東京都内をドライブ中、ある交差点で信号待ち。もうすぐ青になる…と思ったら、表示されたのは「←」「↑」「→」と全方向の矢印信号でした。この時、3色の信号は赤のままでしたが、しばらくすると矢印信号が消えて青信号が点灯。いったい、どのような意味があるのでしょうか。

 3方向の矢印信号が表示されたのは、西東京市内の「保谷新道」交差点。幹線道路である新青梅街道に、道幅の狭い都道「保谷新道」が交わっています。この保谷新道は一部歩道もない、昔ながらの道幅の都道ですが、バス通りでもあり交通量は比較的多いです。 矢印信号は交差点の4面のうち1面、保谷新道の保谷駅方面から田無駅方面の方向のみに設置されています。保谷新道は時差式信号となっており、矢印信号のある方には、時差式信号の「先発」を示す表示も。つまり、この「先発」のあいだ矢印信号が全方向表示され、対向も青になると、矢印信号が消え通常の青信号に変わるのです。 それならば、最初から青信号だけでもよさそうに思えますが、あえて矢印信号を全方向表示するメリットもわかる気がしました。

躊躇するな、行け! そのために…?

 ここでふと、交通管理の技術開発に携わる人物から、「幹線道路と交わる細い道路側などに、赤信号からいったん全方向の矢印信号が出て、それが消えたあとで青信号が表示されるケースがある」と聞いたことを思い出しました。 全方向の矢印とはいえ、「幹線道路へ右折するクルマが多い場所などで、それらを先に通すことに主眼が置かれている」という話でしたが、「保谷新道」交差点は、まさにこのケースに該当するようです。 保谷新道は前出の通り道幅が狭く、右折レーンも左折レーンも設けられていません。しかし、ここは保谷駅方面から新青梅街道へ右折するクルマが多いです。交差点内が狭いため、右折車が対向の直進車を待つことがあれば、後続の直進車や左折車を阻害し、たちまち詰まってしまいます。 前出の人物は、「ドライバーは青信号になると対向車が来ると思ってしまいがち。仮に対向側が赤だったとしても、流れを阻害する恐れがある。その点、矢印信号は車両専用の信号なので、対向車が来ないと思わせることができる」と説明していました。 つまり、時差式「先発」の表示があったとしても、青信号だけでは右折車が「対向車が来る」と思ってしまい、交差点内を素早く通過できず、後続の流れを阻害する可能性があるわけです。狭い交差点で交通を円滑に整理するための工夫といえるでしょう。

 こうした右左折レーンのない交差点は、都内でも多摩地域に特に多く、東久留米市内で小金井街道と市道が交わる「前沢宿」交差点などは、交差点の2面で全方向矢印を表示させて交通を整理しています。保谷新道交差点については、東京都が推進する拡幅などの改築事業「交差点すいすいプラン」に選定されており、西東京市は都と連携して渋滞解消を進めるとしています。

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