そこは「日光」なの? ご当地ナンバー実現へ参加した隣町「思いっきり宇都宮ナンバー感」

いわゆるご当地ナンバーとして栃木県に「日光」ナンバーが追加される見通しとなりました。隣町を対象地域に加えることで、保有台数のハードルをクリアしたのです。ただ、その関係性はちょっと、ピンとこない人も少なくないようです。

「日光」なのか? 隣の「塩谷町」も日光ナンバーに

 国土交通省は2023年4月21日、自動車ナンバープレートの新たな地域名表示、いわゆるご当地ナンバーについて、申請のあった6地域を発表。北海道の「十勝」、栃木県の「日光」、東京都の「江戸川」、長野県の「安曇野」「南信州」、滋賀県の「彦根」について、2025年5月頃の交付に向け国が具体的な検討に入ります。

 今回の6地域で単独の自治体は「江戸川」(東京都江戸川区)のみで、ほかは複数自治体との共同です。「十勝」の18町村、「南信州」の14市町村など、かなり広域になるケースもあります。 そうしたなか、SNSなどで疑問の声が上がっているのが、「宇都宮」ナンバーから分離独立となる「日光」ナンバーです。構成自治体は栃木県日光市と、隣の“塩谷町”。これについて「日光市はわかるが塩谷町? ん?」「塩谷町が日光ナンバーは草。思いっきり宇都宮ナンバー感しかない」といった声がSNSなどを中心に見られます。 塩谷町は宇都宮市の北側にあり、確かに日光市と矢板市に挟まれてはいます。世界文化遺産「日光の社寺」を抱える日光市は、2006年に5市町村で合併して関東最大級の面積を持つ自治体になりましたが、それでも、広義の「日光鬼怒川エリア」に塩谷町は一般的に含まれず、いまいち関係性が希薄に思えるのが、疑問の根底にあるようです。 実は今回、日光市から隣接する塩谷町と鹿沼市へ、「日光」ナンバーに参加しないかと持ちかけた経緯があります。 人口約7万7000人の日光市単独では、ご当地ナンバーを申請する保有台数の条件を満たさず、過去2回、申請を断念してきました。今回のご当地ナンバー募集では国が、複数市区町村にまたがる申請ならば「登録車と軽自動車との合計で8.5万台以上」と基準を緩和したことを受け、隣接2市町と共同申請の方向に切り替えたのです。 鹿沼市は住民アンケートで反対が多数を占めたため参加を見送りましたが、塩谷町は「日光ナンバーがよい」49.4%、「宇都宮ナンバーがよい」44.5%と前者が僅差で上回りました。これにより、日光ナンバーの誕生が現実味を帯びたため、同町と日光市が共同で申請するに至ったのです。これについて日光市の総合政策課は「2市町で台数条件をわずかに上回ることができた」としています。

「日光鬼怒川」のエリアが広がるか?

「日光市は観光が基幹産業でもあり、日光を広くアピールできるご当地ナンバーの導入は地元からの声が大きいです。過去のアンケートでも導入意向が80%を超えています」(日光市総合政策課) 県内にはご当地ナンバーとして「那須」があるため、「日光」も導入すべき、という声もあったようです。 一方で塩谷町との関係性について聞いたところ、日光市、塩谷町の担当者とも、互いに「関係がないわけではない」と口を揃えました。「(日光市として)合併した2町村は『塩谷郡』です」(日光市総合政策課)とのこと。 また塩谷町企画調整課も、鬼怒川や国道461号でつながる「旧今市市エリアとは切り離せない地域」だといいます。 実は、かつて両自治体は鉄道でもつながっていました。1959(昭和34)年まで、東武鬼怒川線の新高徳駅(日光市)と国鉄矢板駅を結ぶ「東武矢板線」が塩谷町域を横断していたのです。現在、町の交通は中心地である玉生(たまにゅう)と、鬼怒川沿いの船生(ふにゅう)、この2つのエリアと宇都宮市街を結ぶ関東自動車のバスがメインですが、旧矢板線の並行ルートも、町が地元のしおや交通に委託してバスを運行しています。

 とはいえ、塩谷町として「日光」ナンバーをどう活かすかについては、「(日光市との)協議会でこれから考えていく」(企画調整課)とのこと。 日光市の担当者は、「年末までに図柄入りナンバーのデザインと、導入促進計画をまとめます。そこで、どのような観光資源を結び付けていくか」と話しました。日光ナンバーの導入をきっかけに、「日光鬼怒川エリア+塩谷町」という観光のあり方などが生まれていくかもしれません。

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