
<マスターズ 最終日◇9日◇オーガスタ・ナショナルGC(米ジョージア州)◇7545ヤード・パー72>
悪天候により連日の順延となった「マスターズ」。松山英樹は最終日、午前8時30分に第3ラウンドを12番ホールのグリーン上から再開し、2メートルを沈めてバーディでスタートを切った。続く13番パー5でも3打目のアプローチを2メートルにつけて連続バーディ。首位への追撃態勢に入る。
15番パー5でも3打目のアプローチを2.5メートルに乗せてバーディと、再開後から3つ伸ばして、トータル5アンダーで第3ラウンドを終えた。このとき単独首位のブルックス・ケプカ(米国)とは6打差があったが、追いつけそうな勢いがあった。5位タイで最終組の2つ前から午後2時14分に最終ラウンドをスタートした。
リーダーボードで自分の位置を確認しながらのラウンド。「上はなかなか独走するような感じではなさそうだとずっと思っていた。最終ラウンドの前半で2つ、3つ伸ばせていれば…。なかなか思い通りにはいかなかったです」。
スタートの1番でアプローチを1メートル弱に寄せるも、パーパットが右を抜けてボギー。すぐさま2番パー5で取り返すも、495ヤードの5番パー4では、段下からの長いパットを3メートルショートして3パットのボギーとしてしまう。8番パー5でバーディを奪い、スタート時点のトータル5アンダーで折り返した。
「きょうの朝はパッティングが入ったんですけど、なかなか合わせられなかったのが悔しいなと思います」。金曜から土曜の晩まで降り続いた雨。気温が低い曇り空で行われた午前中の第3ラウンドと、青空がのぞいて気温が上がってきた午後の最終ラウンドでオーガスタのグリーンの状態は変化した。
10番では5メートル、アーメンコーナーに入って11番では3メートル、12番では8メートル、13番では4メートルのチャンスにつけるも、これがことごとくカップに嫌われた。「10、11、12、13といいところにつけていたので、それが1個でも入っていればもう少し面白い展開で残り5ホールできるかなと思っていたんですけど、入らなかったので苦しいなと思いながらやっていました」と唇をかむ。
なかなかバーディがこない展開で、続く14番パー4ではセカンドショットをいい感じで見送るも、一番奥のピンに対して、あと少しキャリーが足りずに、ボールが段を手前に転げ落ちてグリーンを出てしまい、悔しがる仕草をみせた。続くアプローチを見事1.5メートルに寄せてパトロンたちの拍手を浴びるも、次のパーパットを外して、事実上、優勝争いから脱落。リーダーボードから『MATSUYAMA』の名前も消えた。
「ティショットは第3ラウンド前半以外は良かったんですけど、アイアンショットは総じてずっと悪かった」。初日のフェアウェイキープ率は100%。土曜に行われた第3ラウンド前半はティショットを右に曲げるショットが目立ったが、それ以外は安定していた。しかし、今週課題としていた得意のアイアンショットの縦の距離感は最後まで不安定だった。
最後のパー5となった15番は、残り255ヤードから果敢に2オンを狙うもグリーン右に外し、アプローチを右からの傾斜を使って1.5メートルに寄せるも、バーディパットは右を通過。サンデーバックナインはあと少しというところで、なかなかバーディパットがカップに沈まなかった。上がりの17、18番ではそれぞれガードバンカーに入れて、2.5メートルと1.5メートルに寄せる技をみせたが、どちらもそれを外して連続ボギー。トータル2アンダー・16位タイで今年のマスターズを終えた。
悪天候の影響で2日目に2度の中断のちに順延、3日目も降り続ける雨の影響でグリーンに水が溜まってプレー続行不可能となり連日の順延を強いられた。気温も最大29度の汗ばむ陽気から、10度以下の真冬並みの寒さまで変化した今大会。松山は首に不安を抱えながらのラウンドで、なかなか自分のプレーのリズムを作れなかった印象がある。
「今週はきょうの第3ラウンド以外、スピードをつかめなかった」とパッティングに課題を残した。5月の「全米プロゴルフ選手権」に向けて、体のケアを優先しながら、「パッティングにも時間を費やせる」としっかり課題克服に努める予定。強いゴルフが戻ってくるまでしばらく待ちたい。(文・下村耕平)