「電子車検証がPCで読めない問題」解消 制度開始3か月で国ようやく対応 業界の困惑なぜ長引いた?

電子車検証の制度開始直後から続いた「PC閲覧時の不具合」がついにシステム改修で解消されました。PCを2台用意しなければならないといわれ、困惑していた自動車整備業界に応えました。

ETCセットアップアプリが導入されたパソコンでも読取り可能に

 電子車検証のPC閲覧アプリで、正常なインストールが行われても、閲覧不能に陥る不具合について、国土交通省自動車局は2023年3月28日、必要な改修を完了したことを公表しました。ICカードリーダーの選択が可能となり、ユーザーがパソコンをもう1台用意するという暫定的な対応は不要になりました。

 電子車検証は、車検証にICタグを埋め込み、車検証情報を端末でも読み取れるようにしたDX(デジタルトランスフォーメーション)対応の車検証です。自動車検査事務所などを訪れる手間を減らし、車検を実施する整備事業者や多くの車両を管理する運送事業者の事業効率化に貢献することが期待されました。ところが、1月4日の制度開始直後から不具合が発覚。業界関係者は困惑し、日本自動車整備商工組合連合会(整商連)が国土交通省などへシステムの修正を要請していました。そのトラブルは、パソコンへICカードリーダーを接続してデータを読み取ろうとしても、対応するICカードリーダーをパソコンが認識することができない、というものでした。すでにETCセットアップ用のアプリがインストールされていると、電子車検証読取りのためのカードリーダーが動作しない仕様になっていました。 今回の改修は、この不具合に対応するものです。現状で電子車検証アプリが正しくインストールされていれば、パソコンを起動後に自動で更新プログラムが反映されます。更新終了後に立ち上がった車検証閲覧アプリの設定変更画面で、閲覧対応のICカードリーダーを選択すると、それ以降はアプリを立ち上げるだけでICカードリーダーが接続された状態を保つことができます。

不具合解消が遅れたワケ

 影響を受けた大多数は、1台のパソコンでETCセットアップアプリと電子車検証閲覧アプリを動かそうとした整備事業者や運行事業者でした。混乱が局所的であることや、業務として使われているため、電子車検証への切り替えを主導した国土交通省自動車局は、2つのアプリを分けて、2台のパソコンを使うことを暫定的な対応としていました。 また、ETCシステムを管理するITSサービス高度化機構は当初、ETCセットアップアプリ固有の不具合ではないと判断。車載器などを取り扱う登録事業者にメールによるお知らせを実施だけで、電話などによる利用者からの問い合わせがあれば対応策を説明していました。

 ETCも電子車検証も、同じ国土交通省の施策でしたが、両者の関係者が連携して積極的な初期不良対策を周知しなかったことが、結果的に更新を遅らせました。 電子車検証を担当する同省自動車情報課は「ユーザー目線に立って情報発信等しっかり行って参りたい」と、話しています。

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