高速道の「通勤定期」的なもの? 新割引「フリータイム通勤パス割引」試行 1日3回まで半額に

北陸道で新たな割引制度「フリータイム通勤パス割引」の試行が始まります。従来の「平日朝夕割引」の課題解消に向けた新割引ですが、これまで難しいとされていた“鉄道のような通勤定期券”に近づいたともいえます。

北陸道で試行の新割引「フリータイム通勤パス割引」とは

 高速道路に「新たな割引制度」が登場です。NEXCO中日本金沢支社は2023年2月3日、ETC割引制度「フリータイム通勤パス割引」を北陸道の一部区間にて、4月1日から試行すると発表しました。

 事前登録で指定した区間の利用料金を、月初から月末までの1か月間、曜日や時間帯にかかわらず、最大50%割り引く制度です。4月から当面3か月間を対象に、各月先着順で計1000名のモニターを募集。3月1日からNEXCO中日本のウェブサイトで受付を開始するといいます。 今回は、北陸道の片山津IC~金沢東IC間(石川県)が試行区間として選ばれました。この区間を通常利用した場合は普通車で1230円かかります。「フリータイム通勤パス」は、その10回分に相当する1万2300円で“販売”され、その2倍にあたる2万4600円が“利用可能額”とされます。 1日3回まで利用でき、利用可能額を越えても、月内であればその都度、1日3回まで通常料金から50%割引が適用されるようになります。ただし、同日内の4回目以降の利用については、割引適用なしの通常料金が別途請求となります。 つまり、「10回分の通行料金を事前に支払えば、1日3回までは、月末まで同区間内を半額で利用できる」というわけです。ただし対象期間内に利用可能額に達しなかった場合、利用可能額の繰り越しはできません。区間を指定してパスを購入する点は、鉄道などの通勤定期券に近いものといえるでしょう。

なぜ北陸道の石川県内から?

 NEXCO中日本金沢支社はフリータイム通勤パス割引について、従来の「平日朝夕割引」を区間限定で拡張したものだとしています。 平日朝夕割引は、平日朝6~9時、17~20時(各時間帯に1回のみ)における地方部の高速道路(東京・大阪近郊は対象外)の料金を月の利用回数に応じて約30~50%割り引くもので、今回のように区間指定はありません。また、割引は翌月20日にETCマイレージサービスの還元額(無料通行分)として付与され、マイレージサービスへの登録も必須です。「平日朝夕割引は、渋滞緩和効果が限定的で、適用時間帯も一般道含めて混雑しているという指摘がありました。そのような特徴が実際に見られるほか、一般道が並行していて高速道路への転換が容易という面から、当区間(北陸道 片山津~金沢東)が試行区間として選ばれました。往復の通勤と、1回は買い物などで下りることを想定して、1日3回までとしています」(NEXCO中日本金沢支社)

 なお、割引は後日適用のため、出口料金所の通過時は通常料金(休日割引や平日朝夕割引などのETC時間帯割引が適用される場合は、その割引後の料金)が適用されます。指定区間外をまたがって利用する場合、指定区間内はフリータイム通勤パスの50%割引が、区間外については有効なETC割引が適用されます。利用日時・頻度によっては、指定区間内もフリータイム通勤パスを利用しない方が安価な場合があるということです。

難しいとされてきた高速道路の「通勤定期」的なもの 実現なぜ?

 従来、高速道路で鉄道のような通勤定期券を設定するのは難しい、とされてきました。というのも、「利用回数に制限のない定期券は、現金やETC割引をご利用されるお客さまとの間に著しい不公平が生じる」(NEXCO西日本ウェブサイトの説明)とされているからです。 それでも通勤定期を望む声があることから、代替として2005(平成17)年1月、ETC専用の「通勤割引」が設定されました。これは現在の平日朝夕割引と時間帯などは同じ条件で、午前と午後1回のみ、料金を50%引きにしていました。しかし、時間と回数でしか縛らないので、たまたま旅行で通った人などにも適用されてしまうことから、2014(平成26)年にETCマイレージサービスを活用した平日朝夕割引に改められたという経緯があります。 今回は、国の委員会で平日朝夕割引も含めた各種割引の見直しを進め、その結果を受けての試行となります。 国交省の担当者は以前の取材時、コロナ以降で人々の通勤時間が変化し、時間帯限定では必ずしも通勤で多く利用している人が割引を享受できなくなっている、と話していました。しかし、定期券のような乗り放題の制度では、利用頻度の差が人により大きくなる点を、やはり課題として挙げていました。 今回打ち出されたフリータイム通勤パス割引は、時間に縛られなくなるものの、区間を指定し、ある程度の多頻度でないと割引を享受できない制度にすることで、従来の割引と「通勤定期」的なものの中間の利便性を目指した商品といえそうです。NEXCO中日本金沢支社によると、3か月の試行結果を受けて、制度の変更や区間の拡大が検討されていくことだろうといいます。

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