6年過ぎてなぜ?「フリード」がミニバン1位になったワケ そもそも競合がシエンタだけなのは

ホンダ「フリード」が2022年ミニバン年間販売台数1位になりました。ライバル「シエンタ」を差し置いて現行モデル6年目にして初めて掴んだ栄冠ですが、なぜいま、1位になったのでしょうか。

追随許さず? 「シエンタ」差し置いて売れた「フリード」

 2022年の新車販売台数において、ホンダの「フリード」が3列シートのミニバンで、国内ナンバー1となりました。

 フリードは、初代モデルが2008(平成20)年に登場し、5ナンバーサイズのコンパクトなボディに3列シートを備え、「ちょうどいい」をキャッチフレーズに人気モデルとなりました。2代目となる現行モデルは2016(平成28)年のフルモデルチェンジ。それから6年目で初めて栄冠をつかむことができたのです。 では、なぜナンバー1を得たのが、モデル末期とも言える6年目だったのでしょうか。 まず言えるのは、フリードの人気の高さは、ポジショニングの良さにあるということです。3列シートのミニバンは、大きさごとに、ざっくりと3つのグループに分けることができます。一番小さいのが、1.5Lクラスのエンジンを搭載するBセグメント・クラスで、ホンダのフリード、トヨタの「シエンタ」が該当します。 その上は、2LエンジンのCセグメント相当。該当するのは、ホンダ「ステップワゴン」、トヨタの「ノア/ヴォクシー」、日産の「セレナ」です。そして最後に、3L相当のエンジンを搭載する一番大きなクラス。トヨタの「アルファード」、日産の「エルグランド」となります。 その中でフリードは、最も小さなクラス。そして小さいということは安いということ。そして安いということは数多くの販売が見込めることを意味します。 さらに、現状でフリードのライバルとなるのは、シエンタただひとつです。ホンダ、トヨタ以外のメーカーの状況はどのようなものなのでしょうか。 まず日産です。日産は2020年投入のキックスが10年ぶりの新車種であったように、日本市場向けの新規モデル投入には消極的でした。フリードクラスのBセグメント3列ミニバンが売れそうなのは、日本とアセアンくらいですから、中国と北米に注力する日産としては、新規開発は難しいと言えます。

フリード「逃げ切り」か

 マツダは、3列シートのSUVである「CX-8」を投入する代わりに3列シートのミニバンをやめています。スバルは、「エクシーガ」やその改良モデルの「クロスオーバー7」といった3列シート車はあったものの、いわゆる“ミニバン”には消極的で、3列シート車は全廃。そして、ダイハツとスズキは、フリードよりも下のクラスとなる、2列シートの「トール」と「ソリオ」で戦っており、3列シートミニバンには進出していません(OEM除く)。 現状ではフリードのライバルは不在なのです。それだけナンバー1になりやすいというわけです。 次にフリードが良かったのは時流です。端的に言えば、ライバルとなるシエンタのフルモデルチェンジ(FMC)の時期に恵まれました。シエンタは2022年8月23日の新型(3代目)登場に向かって、2022年前半は販売台数を落としていたのです。 また、シエンタは生産の混乱や半導体不足などの打撃で、12月20日時点の納期は「詳しくは販売店にお問い合わせください」(トヨタHPの「生産遅延に基づく工場出荷時期目処の一覧」より)とあります。つまり、納期に半年以上かかりそうなのです。 一方、フリードは2022年6月にマイナーチェンジして商品力を維持しつつ、納期も「半年程度」を堅持しました。その結果、1~8月の販売台数は、フリードが上回っており、その差を活かして、9月以降のシエンタの追撃から逃げ切り、ナンバー1の地位を獲得したというわけです。

 つまり、今年のフリードが販売台数ナンバー1になれたのは、「ライバルがシエンタのみという状況」「シエンタのFMCの落ち込みをうまく使った」という2つが理由と言えるでしょう。もちろん、デビュー6年目でも色褪せないフリードの高い商品力があったことも忘れてはいけません。 ただし、シエンタの新型モデルが登場した2022年9月以降は、シエンタの販売が勝っています。2023年の販売はシエンタが有利なのは間違いありません。2023年こそが、フリードの真価が問われる年になるでしょう。

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