
アメリカの航空機メーカー、ロッキードが手掛けた旅客機でベストセラー機となったのが、「やじろべえ」のような外観を特徴とする「コンステレーション」シリーズです。どのような旅客機だったのでしょうか。
1943年1月9日に初飛行
2023年現在、軍用機を主力製品としているアメリカの航空機メーカー、ロッキード社(現在はロッキード・マーチン社)は、かつて民間機の分野へもすそ野を広げていた歴史があります。そんな同社の歴史のなかでもベストセラーとなった旅客機が、1943年1月9日に初飛行した4発プロペラ機、「コンステレーション」シリーズです。
「コンステレーション」シリーズは、一般的なプロペラ旅客機とは一線を画すユニークな形状をしています。 胴体は一般的な筒状ではなく、細い機首から中央部にかけて直径が太くなり、主翼後方から後部にかけてまた細くなるというもの。尾部には3枚の垂直尾翼が並ぶほか、長い脚が備わり、腰高な見た目が特徴としていました。そのデザインは日本人には「やじろべえ」のようにも見えますが、当時は特徴的な外観から「空の貴婦人」と呼ばれています。
機内もすごかった?日本じゃ導入なしも歴史的フライトも
「コンステレーション」は高性能を売りとしており、デビュー当時としては世界最高水準の航続距離(約5600km)と飛行高度の高さ(約7300m)がうたわれるなどしていました。また、同機はいくつかサブタイプも製造され、シリーズ累計で800機以上が生産されています。 シリーズのなかでもっとも売れたのは、1951年初飛行の大型化タイプのL-1049「スーパー・コンステレーション」。この機は「エアコン、リクライニングシート、洗面所など、前代未聞の洗練された機能を誇った」(ロッキード・マーティン社)という豪華な設備をもちました。 一方「コンステレーション」は日本の航空会社へは導入されず、その姿を拝むことができるのは海外の航空会社からの乗り入れ便に限られていました。 たとえば、エールフランス航空は1952年、初の日本路線となる東京~パリ線を、「コンステレーション」運航で開設。このときはでは途中ベイルート、カラチ、サイゴンの3都市を経由した「南回り」航路でのフライトし、飛行時間は38時間30分、フライト所要時間は約50時間だったと記録されています。