
JALでは海外に、現地で採用された「海外基地」のCAが在籍しています。日本地区で採用されたCAとはどのようなところが異なるのでしょうか。JAL協力のもと、そのウラ側を聞くことができました。
「日本人にはない才能をもった人がたくさん…」たしかに!
JAL(日本航空)では日本のほかに、バンコク、台北、シンガポールなどの5拠点に、現地採用のCA(客室乗務員)が所属する「海外基地」を有しており、国際線には邦人CAとともに、複数名の海外基地のCAも乗務しています。同社の海外基地に所属するCAは、現在約1000名にも上るそう。今回、JAL協力のもと、その裏側を取材することができました。
担当者によるとJALの海外基地CAは「色々な才能をもった人がたくさんいる」とのこと。たとえばアートの才能を持つCAや美容学科出身で身だしなみの整え方を熟知しているCA、なかには元歌手でキャスターといったCAもいました。 そして、海外基地のCAは、実は基地のある国と日本を結ぶ国際線以外の路線も担当するといいます。 たとえば、同社最大の海外基地であるバンコク基地のCAは、日本~バンコク線はもちろん、欧米線や東南アジア線、メルボルン線、ホノルル線などを担当するとのこと。担当者によると、現在は担当路線を月ごとに決めるのが一般的になっており、搭乗しているお客さまの国籍なども踏まえ、路線の割り振りを判断しているとのことです。 今回、JALの海外基地に所属するCAの裏側を、シンガポール基地に所属するヴァーリン(LEE BEE KENG VERLYN)さんに、話を聞くことができました。同氏もまた、アジア屈指の名門大学のひとつ、シンガポール国立大学で化学を学んだのち、化学者として企業で働いていた異色の経歴をもちます。
訓練や働き方にも違い…でもとってもJALらしい!
ヴァーリンさんによると、シンガポール基地に所属するJALのCAの場合、シンガポールで訓練期間中に2週間現地の日本語学校で語学トレーニングをします。そのあと、日本へ行き7週間、さらに客室の専門訓練を実施するそうです。担当する路線が国際線のみとなる性質から、訓練期間も日本を拠点とするCAより長くなるのだとか。「日本語のレベルはCAそれぞれといったところですが、学校ではカタカナ・ひらがなから習います。結構ハードだった記憶がありますね(笑)現在でも、オンラインなどを用いながら日本語のトレーニングを行っています」(ヴァーリンさん) また、シンガポール基地では出発前の準備方法も日本とは多少異なるのだとか。「基地のCAが出発する前にパスポートや必携しなければならない書類などのチェック、必要情報の伝達などのブリーフィングをオフィスで行いますが、このブリーフィング担当業務をCAの一部メンバーも担います(編注:日本ではCAとは別のマネジャーが実施している)。本来のCA業務とブリーフィング担当業務を兼務できるCAは、現在(2022年10月)4人います」
JALの特長のひとつである「日本らしいおもてなし」は、シンガポール基地のCAにも受け継がれています。 たとえば化粧室や客室の念入りな清掃。同氏は「化粧室をキレイにしておくことは、マニュアルがあるわけではありませんが、伝統として先輩から伝えられてきました」としたうえ、「化粧室を隅々までキレイにすることは、快適性だけでなく安全性の向上にもつながります。また、私がCAになったとき『機内は自分たちの家、お客さまはそこにお越しになるゲスト』と考えていました。化粧室もそうですし、客室を清潔に保つため、清掃グッズの粘着ローラー(いわゆる“コロコロ”として知られる清掃グッズ)も使います」※ ※ ※ 海外の乗客に対しても一層高いサービスレベルを保つことができ、かつ“JALらしさ”も日本地区採用のCAと同じように伝承しているJALの海外基地CA。ヴァーリンさんはその接客方針について、「安全を再優先としつつ、お客さまの期待を超えるような対応をするように心がけています。自分がハッピーであれば、周りの方、お客さまもハッピーにでき、それは最終的に会社がハッピーになるということにつながります」と話します。