
<セントリー・トーナメント・オブ・チャンピオンズ 事前情報◇4日◇カパルア・リゾート プランテーションC(ハワイ州)◇7596ヤード・パー73>
新年を“ニュールック”で迎えたのは今年大きな期待のかかるトム・キム(韓国)、20歳。昨年のツアー勝者とフェデックスカップ・ランキング30位以内が参戦できるこのエリート大会に初出場を果たしたキムには“ナイキ”のロゴマーク、“スウッシュ”が 光っていた。
「格好いいだろ?」と胸を張るキム。「ナイキはトッププレーヤーだけのもの。僕をチームに入れてくれてすごくうれしい」と満面の笑みだった。
昨年7月、スポンサー推薦で出場した米欧州ツアー共催の「ジェネシス・スコットランドオープン」で3位に入ると、PGAツアーのレギュラーシーズン最終戦「ウィンダム選手権」でツアー初優勝。9月の「プレジデンツカップ」で大活躍を見せると、勢いそのままに突入した22−23シーズンの10月には「シュライナーズ・チルドレンズオープン」でツアー通算2勝目を挙げた。今、PGAツアーで最も乗っている選手の一人だ。
韓国生まれのキムだが、オーストラリア、フィリピンなどで育ち、英語と韓国語はネイティブ、ほかにタガログ語も話せるという。アジア勢最高位の世界ランキング15位に位置しているが、「僕は韓国人。だけどアジア人というだけではない」と世界のトップを目指している。
韓国選手のパイオニア、K・J・チョイ(チェ・キョンジュ、韓国)が一時ナイキと契約を結んでいたが、現在アジア勢で米国ナイキと契約しているのは「僕だけだ」とキム。これまでは韓国企業のCJなどの複数社との契約だったが、時間的拘束が多かっことから「僕にとっては時間がとても重要だった」とナイキ社を選択した。
「2022年はクレージーな1年だった。何もかもあっという間に起こったけれど、このオフにはしっかりと振り返ることができた。2勝を挙げたが、もっと練習に励まないとならない。そして2023年はもっといい年にしたい」と堂々とコメント。そして今年の目標は「大きな試合で勝てれば…」とメジャー勝利も視野に新しい1年を戦う。
一方、2021年の新人王ウィル・ザラトリス(米国)は、フェデックスカップ・ランキング3位で迎えた昨季の最終戦を“腰痛”であえなく欠場。今大会は約5カ月ぶりの復帰戦となる。
「椎間板の痛みはスイングが原因だった」と26歳。「スイングを理解するのに大きな時間をかけた。タイトリストのパフォーマンスセンターのローズ医師と分析して、僕のスイングがどのように右腰に負担をかけているのか理解した。右腰が高くなっていて『痛めるのは当然』とドクターに言われた」とスイング改造に着手した。
12週間と言われた安静時間に数週間を加えて完治を目指し、さらに約1.25インチ短いドライバーに交換。「それでもスイングスピードはまったく変わっていない」と自信をみせる。過去2年は
腰痛に苦しめられてきたザラトリスだが、「すべてがとてもいい感じ。体のことも理解できた。このまま続けられれば次の勝利は近い」と自身へ期待をかけた。(文・武川玲子=米国在住)