
将軍様、これ乗ってるんすね……。
1963年1月3日初飛行
ソ連で初めて開発した長距離むけジェット旅客機が、1963年1月3日に初飛行したイリューシン「Il-62」です。この機は当時「世界最大の旅客機」として初飛行。また、近年でも、北朝鮮の指導者、金正恩氏が専用機として使用していることでも脚光を浴びました。
Il-62は長さ約53m、全幅約43mの胴体をもち、最大では200席にも迫る旅客を一度に運ぶことができました。競合機にはアメリカ・ボーイング社の707、ダグラス社のDC-8などがあります。ちなみに、707は全長約44mで最大189席、DC-8(初期タイプ)は全長約46m、最大177席搭載と記録されています。 しかし、Il-62は欧米の競合機とは、大きな違いが存在します。ともにエンジンが4基搭載されていることは共通しているものの、707やDC-8が主翼の下に吊り下げられているのに対し、Il-62は胴体後部にエンジンが集約されているのです。
4発後部エンジンなぜ…?「パクった!」といわれたライバル機
Il-62は、この尾部にエンジンを4基搭載するスタイルの採用で、客室の騒音を減らし、快適性をアップさせたほか、空力特性や重量、コストなどを改善させたとのことです。 なおこのスタイルは、イギリスの航空機メーカー、ビッカース・アームストロング社が1962年に初飛行させた「VC-10」でも採用されています。その真偽こそ定かではありませんが、東西冷戦下で似たスタイルをもったIl-62は、その初飛行がVC-10の翌年だったということもあり、VC-10の設計を模倣したともウワサされています。 Il-62は当時ソ連の国営航空会社だったアエロフロートのモスクワ~モントリオール線で就航。同社では主力機のひとつとなったほか、1969年には、JAL(日本航空)の東京~モスクワ線において、日ソ共同運航という形でこの機が投入されました。 また同型機は、搭載エンジンを変更することで静粛性を高めた派生型も生み出され、シリーズ累計では、300機近くが製造されています。