<大王製紙エリエールレディス 事前情報◇19日◇エリエールゴルフクラブ松山(愛媛県)◇6595ヤード・パー71>
仕切り直しの女王獲りは反省の弁から始まった。「先週は結果ばかりを見すぎてしまいました。イライラもして、もったいないゴルフをしてしまった。今週は自分のゴルフに集中します!」。残り2試合。メルセデス・ランキング(MR)1位を独走する佐久間朱莉は、原点に帰って戴冠を目指すことを誓った。
前週の「伊藤園レディス」は首位と1打差から出た最終日にイーブンパーの「72」と停滞し、8位に終わった。しかも、前半は3バーディと伸ばしながら、後半は3ボギーで失速。ゴールが目の前にちらついたことで、リズムに微妙なズレが生じてしまった。「心のどこかで決めたいという思いはありました」。“らしくない”ゴルフが歯がゆかったし、悔しかった。
「なるようにしかならない。今の自分の課題に向き合って、今週はゴルフを楽しんでプレーしたいと思います」
佐久間以外に女王の可能性を残すのは神谷そらしかいない。年間ポイントは佐久間が2473.61ptで、神谷は678.97pt差の1794.64pt。神谷が次週の最終戦「JLPGAツアー選手権リコーカップ」に逆転女王の可能性を残すには、優勝しかないが、仮に優勝しても佐久間が単独25位以上になれば、最終戦を待たずに今季の女王争いは決着がつく。リコーカップは予選落ちのない出場40人で、最下位でも10ptを加算するので、佐久間は今大会を単独35位以上で終えれば事実上、戴冠が決まる。
文字通りの王手をかけた松山決戦。新たな勲章も自分のゴルフに徹する材料となる。伊藤園の3日間をトータル10アンダーで回り、今季の平均ストロークは70を切り、69.9737となった。これまでシーズン70切りを達成したのは、2019年の申ジエ(韓国)、22~24年の山下美夢有、24年の岩井明愛、竹田麗央の4人だけ。集中力を研ぎ澄まし、国内女子ゴルフ史上5人目の快挙に挑んでいく。
「平均ストローク1位の人が一番上手な人だと思っている。60台で回れたら、今年一年、本当にいいゴルフができたんだと思えるので、頑張りたい。リコーカップ(の宮崎CC)は難しいので、今週、少しでも多く貯金を作っておきたいと思います」
先週は自分で自分を縛りつけていた。でも、今週は違う。予選落ちでも戴冠の可能性はあるが、「せめて最終日まではいたいです。テレビを見ていて、『あっ、決まったんだ』はイヤです。会場にはいたいです」。ジョークを飛ばせる余裕もある。昨年の竹田麗央は予選落ちした伊藤園で年間女王が決まった。2年連続の珍事だけは回避したい。少し硬かった表情も最後は柔和になった。
今週、決める。もう、待ったはなしだ。(文・臼杵孝志)
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