再審制度見直しの議論を進める法制審議会部会には学者の委員も多く名を連ねる。再審研究者へのアンケートで人選について尋ねたところ、回答した19人のうち13人が「不適切」、4人が「どちらかと言えば不適切」と回答した。
不適切と答えた立命館大大学院の渕野貴生教授は「再審法改革に消極的な法務省の意見を代弁する立場の研究者ばかりが選任されている」と指摘。大阪経済法科大の大場史朗教授も「いわば体制派とも言える研究者が複数(部会に)入っており、本格的な再審法改正は困難という印象を受けた」とした。
九州大大学院の豊崎七絵教授は「研究者の委員らの発言が報じられるたび、それが学界の到達点であるとの誤解が広まっているのではないかと懸念している」と記した。西南学院大の福永俊輔教授も「再審や誤判に関して、これまで積極的に研究してきた方が選ばれていない」と苦言を呈した。
法政大専門職大学院の中島宏教授は「どちらかと言えば不適切」としつつ、「委員はいずれも学界を代表する刑事訴訟法学研究者であり、適性自体に疑いはない」と評価。ただ「他にも再審を専門的に研究し、学術的な価値を高く認められた業績を有する研究者が多数いる。それらの研究者も関与すべきではないか」と疑問視した。
「どちらかと言えば適切」とした近畿大の辻本典央教授は「今回のメンバーは刑法、刑事訴訟法の基本分野に関する研究の蓄積があり、再審に特化した研究業績に乏しいことが必ずしも批判されるべき理由ではない」との考えを示した。
明治大の石田倫識教授は回答として「その他」を選んだ上で、「少なくとも、研究者委員の人選基準などが不透明である点には問題がある」と指摘した。
委員の人選基準について、法務省は「非公開なので差し控えたい」としている。
〔写真説明〕再審制度の見直しを議論する法制審議会(法相の諮問機関)の部会の初会合=4月21日、法務省

