クマ対応、疲労深刻=「時間問わず、休日も作業」―箱わな不足も問題化・秋田

 クマによる人身被害が多発する秋田県では、対応に当たる自治体や猟友会の担当者らが疲労を隠せないでいる。出没は昼夜を問わず、休日に捕獲作業を行うこともある。箱わな不足も問題になる中、自衛隊が支援に乗り出す事態になった。
 県によると、クマによる2025年度の死者は4人で、負傷者は約60人(7日時点)に上る。目撃情報などをまとめた県のサイト「クマダス」によると、出没は10月だけで5500件を超えた。
 10月に約500件の目撃情報があった大仙市。情報が入ると、市職員が状況に応じ現地を確認したり追い払ったりする。「土日や時間外を問わず対応しなければいけない」と疲れた表情の担当者。出没が続いた結果、市は所有する箱わなをほぼ使い切り、急きょ8基を追加購入した。
 10月24日に男女4人がクマに襲われて死傷した東成瀬村では、同月下旬までの出没数と捕獲数のいずれもが、過去5年で最多だった23年度の総数を上回った。担当者は「村単独では対策が難しい」とこぼす。
 対応に伴う負担は、箱わな設置や捕獲を担う猟友会にも重くのしかかる。県猟友会の佐藤寿男会長(81)によると、クマが出没しても日中に仕事がある人はすぐには集まれない。その結果、高齢会員が中心となって出動せざるを得ないという。
 箱わなの重さは100~200キロ程度。運ぶには6人ほどが必要といい、佐藤さんは「いつ出動要請の電話が来るか分からない。必ず家にいないといけない」と苦労を語る。
 「物も人も足りない」(鈴木健太知事)状況を受け、県は11月末までに箱わな14基を購入し、自治体に貸与することを決めた。防衛省には殺処分後のクマの運搬などの後方支援を要望し、陸上自衛隊が5日から鹿角市で活動を始めた。
 県では11月に入っても人身被害が続いており、幹部の一人は「自衛隊が来たからといって出没が収まるわけではない」と気を引き締めている。 
〔写真説明〕消防本部に侵入し、玄関から出ようとするクマ=10月20日、秋田県湯沢市(湯沢雄勝広域市町村圏組合消防本部提供)
〔写真説明〕秋田県仙北市の大村美術館で、入り口付近に設置された防犯カメラに映ったクマ=5日(同館提供)

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