関西電力が美浜原発(福井県美浜町)周辺で原発の新設を検討するための調査について、11月初旬に始める方針を固めたことが3日、分かった。2011年の東京電力福島第1原発の事故以来、国内で初めて新設に向けた動きが具体化する。調査開始日は近く公表する。
関電は今年7月、従来の原発より安全性を高めた「革新軽水炉」を念頭に、新設に向けた調査方針を公表。8月に美浜町が受け入れた。調査は2段階で、ボーリングで岩石を採取して地質状況を調べるといった「概略調査」と、坑道を掘って地盤を構成する岩石の性質・状態の確認などを行う「詳細調査」を実施する。調査は30年ごろまで続く見通し。
今後、人工知能(AI)の普及などによる電力需要の増加が見込まれ、電源確保は不可欠な状況だが、関電は運転可能な原発全7基を既に再稼働させている。新たな電源確保に向け、調査から運転開始まで約20年かかる新設へ第一歩を踏み出す。
関電の森望社長は新設について、「(調査の)結果のみで判断するものではない」と強調しており、原子力規制委員会による規制方針や採算性なども考慮して判断する考え。計画の具体化には、地域理解につながる国や事業者の丁寧な説明と、高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分地選定など原発政策を巡る課題の解決が欠かせない。
〔写真説明〕関西電力本店が入る関電ビルディング=大阪市北区

