レアアース規制延期で合意=米大統領、対中関税10%引き下げ―来年4月訪中、対立緩和演出

 【釜山(韓国)時事】トランプ米大統領と中国の習近平国家主席は30日、韓国南部・釜山で会談した。中国政府は会談後、米国が問題視していたレアアース(希土類)輸出規制の導入を1年間延期すると発表。トランプ氏は合成麻薬「フェンタニル」の米国流入問題に中国が取り組むとして、対中関税を10%引き下げる方針を示した。会談では首脳の相互往来のほか、経済・貿易・エネルギー分野での協力強化でも合意した。
 第2次トランプ政権発足後、米中首脳の対面会談は初めて。釜山の金海国際空港内の施設で約1時間40分にわたり協議し、双方は対立緩和へ前向きな姿勢を演出した。
 レアアースの輸出規制を巡っては、1年ごとに延長の是非を協議することで一致した。中国商務省は会談後、米国の関税に対する報復措置を見直すと表明。中国は縮小していた米国産大豆の購入を拡大する。
 習氏は会談で、今月マレーシアで行われた米中閣僚級貿易協議での合意事項を「最終決定し、実施することで世界に安心感を与えるべきだ」と述べ、レアアースを含む各種の規制を緩和すると示唆した。「報復の悪循環に陥ってはならない」とも指摘し、米側との意思疎通の維持に意欲を見せた。
 トランプ氏は大統領専用機内で記者団に「素晴らしい会談だった。彼(習氏)は偉大な指導者だ」と評価した上で、来年4月の訪中と、その後の習氏の訪米で合意したと説明。習政権が「核心的利益の中の核心」と位置付ける台湾の問題は協議しなかったと語った。
 ロシアのウクライナ侵攻終結に向けて「彼(習氏)が米国に協力する」とも述べ、連携して取り組む考えを明らかにした。ただ、中国によるロシア産原油の購入停止は「議論しなかった」という。
 両首脳の直接対話は、2019年6月に20カ国・地域首脳会議(G20サミット)が開かれた大阪で行って以来。トランプ氏と習氏はアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に合わせて訪韓した。トランプ氏は会談後、帰国の途に就いた。 
〔写真説明〕30日、韓国南部・釜山での会談後、中国の習近平国家主席(右)に話し掛けるトランプ米大統領(AFP時事)

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