軍制服組トップ級が失脚=高官9人の党籍剥奪―中国

 【北京時事】中国共産党は、軍の最高指導機関である中央軍事委員会の何衛東副主席、苗華委員ら軍高官9人に対し、党籍剥奪の処分を決めた。国防省が17日、発表した。「重大な規律違反」があったと断定。巨額の汚職に関与した疑いがあるとして、9人を軍検察機関に送致し刑事責任を追及する。
 発表では、違反や違法行為は「極めて悪質で影響は深刻」と指摘。今回の摘発で、「腐敗分子が身を隠す場所はないことを示した」と強調した。
 何氏は2人いる副主席の一人で、軍制服組のトップ級。現役の副主席が汚職で失脚するのは異例だ。習近平国家主席が進める軍の汚職摘発では、2014年に徐才厚、15年に郭伯雄の両元副主席が摘発されたが、いずれも引退後だった。
 何氏は、台湾方面を管轄する東部戦区の司令官などを歴任し22年に中央軍事委入りした。今年3月を最後に公式の動静が途絶えており、英紙フィナンシャル・タイムズなどは汚職で失脚したと伝えていた。苗氏は昨年11月に取り調べを受けていることが明らかになり、今年6月に解任が公表された。
 習氏は反腐敗を旗印に政敵を失脚させてきた。ただ、今回処分を受けた何、苗両氏は習氏の軍における権力基盤の強化に貢献したとみられてきた。両氏の失脚は、高官同士の勢力争いの結果とする見方のほか、習氏が両氏の忠誠心に疑念を抱いていたとの観測も出ている。 
〔写真説明〕中国の何衛東・中央軍事委員会副主席=3月4日、北京(AFP時事)

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