
経済協力開発機構(OECD)は7日、学校や教員に関する各国の状況を比較した2024年国際教員指導環境調査の結果を発表した。日本の常勤教員の仕事時間は1週間当たり小学校で52.1時間、中学校で55.1時間となり、各国と比較すると、18年の前回調査に続いて最長だった。日本は小中学校とも前回から4時間減少したものの、各国平均を10時間以上も上回っており、長時間労働の深刻さが依然として際立っている。
調査には、OECD加盟国など55カ国・地域が参加。データの比較が可能であるとして、小学校は12カ国、中学校は27カ国を対象に平均値を集計した。
教員の仕事時間の各国平均は、小学校で40.4時間、中学校で41.0時間。日本はそれぞれ11.7時間、14.1時間も上回った。日本は、小中学校とも授業時間の長さは各国平均を下回ったが、学校運営や事務に関する業務に割く時間が長い。
教員の不足を感じる校長の割合は、小学校の各国平均が28.7%、中学校が23.1%であるのに対し、日本は小学校40.7%、中学校35.6%に上る。日本で不足を感じるとの回答は、小中学校とも前回調査から伸びた。
人工知能(AI)の活用状況を見ると、調査時点から過去12カ月以内に授業などで使用した割合は、小学校の各国平均が36.9%、中学校が36.3%だった。一方、日本の小学校は16.0%、中学校は17.4%にとどまる。
このほか、AIが児童生徒の「偏った見方を増大させる」と教員が考える割合は、日本の小学校で48.4%、中学校で51.0%。各国平均を8~8.5ポイント上回り、日本の教員がAIに関するリスクを強く認識していることが確認された。
〔写真説明〕学校の教室(資料写真)