国土交通省は2026年度、老朽化したマンションの再生を促進するため、これまでマンション管理組合が建て替え工事を行う場合に限っていた税制優遇措置を、解体や売却といった他の手段にも対象を拡大する方針だ。工事のために部屋の所有権をいったん管理組合にまとめる際、登録免許税や不動産取得税を免除する。同年度税制改正要望に盛り込んだ。
老朽化したマンションの再生策には建て替えのほか、解体後の敷地売却、建物と敷地を併せた売却、全面的なリノベーションなどがある。国交省は優遇措置の対象を広げることで、各マンションが実情に合った手段を選べるようにする考えだ。
再生に当たっては、すべての部屋の所有権を一時的に管理組合に移し、組合が工事業者と契約する。本来、管理組合には登記を書き換えるための登録免許税などが課されるが、「再生手続きの一環なので課税対象にすべきではない」(国交省幹部)として、免除が必要だと判断した。
管理組合は、所有者の5分の4以上の賛成で再生を決定した後、反対した人に部屋の所有権を売り渡すよう請求できる。建て替えの場合、反対した人が組合から受け取るお金にかかる所得税や個人住民税を引き下げるなどの仕組みがあり、国交省はこの仕組みを解体や売却に適用することも要望した。
築40年以上のマンションは24年末時点で148万戸。20年後には483万戸に増える見込みで、早期の再生着手が重要になる。
