
<日本女子オープン 2日目◇3日◇チェリーヒルズゴルフクラブ(兵庫県)◇6616ヤード・パー72>
ルーキーの中村心が、前日に達成したプロ初のホールインワンに続き、第2ラウンドでもビッグプレーを生んだ。
それは10番からスタートし迎えた前半ラストホールの18番パー5だった。この日は前方ティを使用し、493ヤードと短めの設定。「ティショットがうまくいけば2オンできる」と考え放った一打は、狙い通りフェアウェイをキープした。残り200ヤードの2打目は5番ウッドをチョイス。これを振り抜くと、カラー付近に着弾したボールがグングンとカップに寄っていき、残り50センチのところでピタリと止まった。
もう少しでアルバトロスという一打。“お先イーグル”で、一気に2つスコアを伸ばした。これで前日の2番パー3で達成したエースに続き、2日続けてスコアボードに“◎”を刻み込んだ。連日の“イーグル達成”は「記憶にないです」。本人も驚くスーパーショット連発だった。このプレーもあり、首位と2打差のトータル9アンダー・4位タイで決勝ラウンドに進んだ。
現在のメルセデス・ランキングは79位。シード圏内の50位以内にはまだ及んでいない。この現状については「見るのが怖い」と、こまめにチェックはしていないものの、「目の前の試合で頑張るしかない」とその位置を上げる気持ちはもちろん強い。優勝で400ptなど、 3日間大会の倍のポイントが得られるメジャー大会での上位フィニッシュは、その気持ちを少し楽にするはず。
ただスタッツに関しては、上位選手との数字を比較し、自分との違いを分析するなど、しっかりと確認。ドライビングディスタンス(249.89ヤード、13位)やフェアウェイキープ率(58.7013%、85位)、パーオン率(65.2525%、69位)、そしてパット数(1ラウンド当たり29.8727、51位)は、特に注視している部分だ。「ショートゲームが課題なので、パット数はしっかり30を切って、安定できるように」。それをプレーに生かしている。
現在は課題のドライバーショットを修正中。シーズン中でも、困った時などはトミーアカデミーから指導を受けてきた中嶋常幸に電話し、アドバイスをもらっている。3週前の「ソニー 日本女子プロ選手権」会場では、実際にプレーを見てもらい、指導も受けた。「トップで、しっかりとヘッドの重みを感じるように、と言われました。トップがどこにあるか分からないと、位置も定まらない。それを教えてもらい、ヘッドの位置を確認するようにしたら、よくなってきました」。試合経験、分析、指導など、さまざまな角度から成長を目指す毎日だ。
2022年に初出場した女子オープンは、今回で4年連続4度目。まだECC学園高3年に在学するアマチュアだった23年大会では、14位タイになりローアマにも輝いている。プロ入り前には大会を主催する日本ゴルフ協会(JGA)のナショナルチームにも選出されていた、“縁深い”大会でもある。
「すごく大きな大会ですし、優勝したい気持ちは大きい。残り2日間もここまでの感じでいけたらいいな」。メジャー大会で勝利すれば、3年間の複数年シードが与えられる。そうなれば、もちろんランキング争いを恐れる必要もなくなる。(文・間宮輝憲)