米政府機関閉鎖、出口見えず=トランプ政権、民主党に圧力

 【ワシントン時事】米連邦政府は1日、予算切れを受け、一部機関の閉鎖を開始した。2026会計年度(25年10月~26年9月)入りしたものの、与野党の対立激化でつなぎ予算案の議会通過のめどは立っていない。「出口」が見えない中、閉鎖が長引くほど米経済や社会への影響増大は必至だ。トランプ政権は公共事業削減などで野党民主党への圧力をじわり強めている。
 対立の根は深い。民主党内では、トランプ政権発足以降、与党共和党がホワイトハウスと上下両院を握る「トリプルレッド」状態に乗じて、低所得者医療支援の削減などを一方的に進めてきたことへの不満が渦巻く。「医療を守る」(上院首脳)と、つなぎ予算案に巨額の医療関連支出を盛り込むよう要求する。
 だが、民主党の提案は今後10年で1兆5000億ドル(約220兆円)の債務増を招くとされる。歳出削減を志向する共和党は「受け入れられない」(ジョンソン下院議長)と突っぱねている。
 予算成立のカギを握るのは上院だ。共和党は僅差の過半数を保つが、予算案を通すには議事妨害(フィリバスター)阻止で民主党の協力が必要となる。上院は1日、共和党が主導し、下院で可決済みのつなぎ予算案を2日連続で採決。いずれも否決されたが、民主党から3議員が賛成した。共和党側は今後も採決を繰り返し、民主党議員の間で個別的な支持を少しずつ広げる戦略だ。
 共和党はさらに、政府閉鎖を機に、政府職員や公共事業の削減を進める方針。強硬な歳出削減論者のボート行政管理予算局(OMB)長官は1日、西部カリフォルニアや東部ニューヨークなど民主党の強い計16州で、インフラや環境関連の事業を中止すると表明した。
 民主党寄りの米公務員労組は「議会は連邦職員の生活をだしに政治的駆け引きをするのをやめなければならない」と主張。東部メリーランド州のムーア知事(民主党)も「閉鎖は回避可能で、不必要だった」と苦言を呈すなど、同党支持層にきしみもうかがえる。 
〔写真説明〕トランプ米大統領=9月30日、ワシントン(EPA時事)

externallinkコメント一覧

コメントを残す

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)