法人向け軽油でカルテルか=販売8社に強制調査―公取委

 東京都内で運送業者など法人向けの軽油の販売価格を巡りカルテルを結んでいた疑いが強まったとして、公正取引委員会は10日、独禁法違反(不当な取引制限)の疑いで、「東日本宇佐美」(東京都文京区)や「新出光」(福岡市)など石油販売会社8社を犯則調査権限に基づき強制調査した。関係者への取材で分かった。
 公取委は検察当局への刑事告発を視野に入れて調べを進める。公取委の強制調査は、2022年11月に東京地検特捜部と共同で家宅捜索に乗り出した東京五輪・パラリンピックを巡る談合事件以来となる。
 他に強制調査を受けたのは、「ENEOSウイング」(名古屋市)、「太陽鉱油」(東京都中央区)、「エネクスフリート」(大阪市)、「共栄石油」(東京都江戸川区)、「キタセキ」(宮城県岩沼市)、「吉田石油店」(香川県三豊市)。
 関係者によると、8社は都内で契約していた運送業者などに対する軽油の販売について、価格を維持したり、引き上げたりした疑いが持たれている。8社の営業担当者が月1回程度、1リットル当たりの販売価格を会合などを通じて調整していたという。
 公取委は今年5月、神奈川県内で軽油価格のカルテルを繰り返した疑いがあるとして、新出光と共栄石油を除く6社への立ち入り検査に着手。その後、都内でも同様の疑いが判明したとみられる。価格カルテルにより、物流コストの上昇や消費者への負担増につながった可能性もあることから、悪質性が高いと判断したもようだ。
 ENEOSウイングの担当者は取材に対し、強制調査が入ったことを認めた上で、「真摯(しんし)に対応していく」と話した。東日本宇佐美なども「全面的に協力していく」としている。 
〔写真説明〕公正取引委員会=東京都千代田区

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