
【ニューデリー時事】アフガニスタン東部を襲ったマグニチュード(M)6.0の地震から7日で1週間。犠牲者は2200人を超え、AFP通信によると過去数十年に同国で発生した最悪の地震被害となった。余震を恐れ屋外で寝泊まりする住民も多い。各国の支援活動は始まったばかりで復旧や復興は見通せない。
「世界の終わりだと思った。多くの家屋が倒れ、死傷した大勢の人々を見た」。最も被害の大きかったクナール州ヌルガル地区で暮らすアブドルタミム・シャリフィさん(40)は時事通信の電話取材に恐怖を語った。
シャリフィさんの自宅は倒壊し、集落はがれきの山と化した。同じ家に住む妹家族や子どもを含む20人以上の親族を亡くした。現在は屋外でテント生活を送る。「何もかも失ってしまった。家の再建は不可能だ」と嘆き、当局や外国の支援を求めた。
被災地は山岳地帯。地震に伴う土砂崩れで道路が寸断され、当初は救助隊の到着が遅れた。家屋は伝統的な日干しれんがなどで造られ、揺れに弱い構造だったことが被害拡大の要因とみられている。一帯では余震とみられるM4~5クラスの地震が断続的に起きている。
女性抑圧を続けるイスラム主義組織タリバン暫定政権の統治下で、女性への支援が後回しにされているとの懸念もある。国連女性機関(UNウィメン)は女性被災者のニーズに応えるため、女性が援助活動に携わる重要性を強調した。
被災地周辺は、アフガンで長年医療支援や用水路建設などに尽力し、同国で殺害された中村哲医師=当時(73)=が設立したNGO「ペシャワール会」(福岡市)現地団体の活動地域と重なる。同会の村上優会長はホームページで現地スタッフに被害はなかったと説明。人命救助や被災者支援に取り組むとしている。
〔写真説明〕地震に襲われたアフガニスタン東部クナール州ヌルガル地区で、倒壊した自宅跡に立つアブドルタミム・シャリフィさん=3日(地元記者提供・時事)