習氏、「枢軸」結成へ振り切れず=中ロ朝3首脳会談は非開催

 【北京時事】中国の習近平政権は、戦勝記念行事に合わせて訪中したロシアのプーチン大統領、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記との3カ国首脳会談を開催しなかったもようだ。個別会談で友好関係を確認するにとどめた。対米共闘の観点からロ朝を糾合する習氏だが、西側諸国が「冷戦期の再現」と見なす「中ロ朝枢軸」の本格結成には振り切れないジレンマがある。
 「中国は平和を大切にするために外国のゲストを招いた。いかなる国との外交関係の発展も、第三国を標的とするものではない」
 中国外務省の郭嘉昆副報道局長は4日の記者会見でこう述べ、中ロ朝の首脳が米国への「陰謀」を企てているとSNS投稿したトランプ米大統領に反発。関連行事には米、英、仏、カナダなどの戦没者遺族代表らを招待したとも強調し、西側の警戒心の緩和を図った。
 習国家主席は今回、国際社会に与える波紋の大きさを考慮し、ロ朝との3者会談を見送ったとみられる。3日の軍事パレードでは、1959年以来初めて3カ国の首脳が天安門楼上に並び、既にインパクトは十分だ。
 核・ミサイル開発にまい進する正恩氏は、日米韓対中ロ朝という「新冷戦」の構図を目指すが、習政権は欧州などとの関係も重視している。北朝鮮と一心同体と見られるのは好ましくない。関税を巡る対米交渉も道半ばで、トランプ政権を過度に刺激する展開は避けたい考えだ。
 3者会談によって、各国の根本的な立場のずれが露呈するリスクもあった。ウクライナ侵攻を続けるロシアに対し、北朝鮮は兵士を送り軍事支援を強化しているが、中国は表向き「中立」姿勢を主張している。プーチン政権が北朝鮮の核開発を擁護する姿勢を示す一方、朝鮮半島の不安定化を望まない習政権は、北朝鮮の核実験などには明確に反対してきた。
 中国人民大の時殷弘教授は「中国は欧州の戦争(ウクライナ侵攻)に直接参加しておらず、中ロ朝を結ぶ貿易体制も存在しない。3カ国は名目上の戦略パートナーにすぎない」と指摘した。 
〔写真説明〕左からロシアのプーチン大統領、中国の習近平国家主席、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記=3日、北京(AFP時事)

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