
【台北時事】日本の半導体製造装置メーカー東京エレクトロンは7日、台湾子会社の元従業員1人が、半導体受託生産世界最大手、台湾積体電路製造(TSMC)の機密情報を不正に取得したとされる事件に関与していたと発表した。台湾メディアによると、元従業員はTSMC退職後に東京エレクトロン子会社に再就職していた。台湾検察当局は、元従業員ら3人を国家安全法違反容疑で拘束し、調べを進めている。
台湾紙・聯合報は、元従業員が知り合いのTSMC技術者と喫茶店で会い、技術者のパソコン画面に情報を表示させて、スマートフォンで大量の写真を撮影したと報じた。TSMCが年内に量産開始を予定する回路線幅2ナノメートル(ナノは10億分の1)の最先端半導体に関する情報で、台湾検察は北部・新竹市にある東京エレクトロン子会社を家宅捜索した。
東京エレクトロンは「当局による捜査に全面的に協力している」とコメントした。元従業員は既に懲戒解雇しており、現時点で情報の外部流出は確認されていないという。東京エレクトロンとTSMCは協力関係にある。
台湾高等検察署(高検)は5日、TSMCの内部調査に基づき、「核心的技術」の機密情報を不法に取得した疑いがあるとして7月下旬に元従業員ら3人を拘束したと発表。TSMCは関与した職員を懲戒処分したと明らかにしていた。
〔写真説明〕台湾積体電路製造(TSMC)のロゴマーク(AFP時事)
〔写真説明〕半導体製造装置メーカー、東京エレクトロンのロゴマーク