
人事院は7日、2025年度の国家公務員の月給を平均3.62%(1万5014円)引き上げ、ボーナス(期末・勤勉手当)を0.05カ月増の年4.65カ月とするよう国会と内閣に勧告した。月給、ボーナスともプラス改定は4年連続で、月給引き上げが3%を超えるのは1991年度以来、34年ぶり。本府省採用の大卒総合職の場合、初任給は手当込みで30万円を上回るなど、民間との人材獲得競争を意識する内容となった。
人事院の川本裕子総裁は記者会見で「優秀な人材の確保と職員のさらなるモチベーション向上につながり、一人ひとりがよりいっそう高いパフォーマンスを発揮することを期待する」と述べた。
人事院は勧告に当たり、民間の給与水準を調査し、公務員と比較している。今回から比較対象の企業規模を「従業員50人以上」から「100人以上」へ変更。このうち本府省職員の比較対象は、東京23区に本店を置く「500人以上」から「1000人以上」へ見直した。
調査結果によると、公務員月給が民間を1万5014円下回った。企業規模が大きくなるほど、給与水準も高くなるとされており、比較対象の企業規模見直しが官民格差を広げる要因の一つとなった。また、物価高騰や人材確保に対応するため、民間で賃上げが進んだことも背景にある。ボーナスも、公務員が民間を0.05カ月下回った。
そこで、人事院は公務員給与を民間並みに引き上げることを勧告。月給は若年層に重点を置きつつ、全体的に改定する。初任給も大幅に引き上げ、大卒総合職は1万2000円増の24万2000円、高卒一般職は1万2300円増の20万300円とする。本府省採用の大卒総合職の初任給は、手当を含めて30万1200円となる。
〔写真説明〕川本裕子人事院総裁(左から2人目)から勧告を受け取る石破茂首相(中央)=7日午前、首相官邸