【シドニー時事】5月3日投票のオーストラリア下院総選挙(定数150、任期3年)まで1週間。与党・労働党が支持率でリードし、政権維持へ浮動票の取り込みに懸命だ。単独で過半数を獲得できるかが焦点で、少数与党となる可能性もある。野党・保守連合は公約の一部撤回などの混乱を重ね、勢いを欠いている。
調査会社ユーガブの24日公表の世論調査によると、支持率は労働党が33.5%で最も高く、保守連合が31.0%、緑の党が14.0%だった。二大勢力に絞ると、労働党が53.5%、保守連合が46.5%。下院解散前の3月調査では両党が50%で並んでいたが、労働党は今回7ポイント差でリードした。
労働党の改選前議席は77。単独で過半数76の維持を目指すが、無所属が善戦している選挙区も多く、過半数に届かない可能性がある。ただ、労働党が第1党の座にとどまれば、緑の党や無所属の協力を得て、少数与党として政権を維持できる目が残っている。
選挙戦の最大の争点は物価対策で、労働党は追加所得減税や住宅購入支援策、電気代補助などを打ち出して支持を広げてきた。アルバニージー首相は「誰も取り残されないようにする」と家計支援の拡充に注力している。
一方、保守連合は国家公務員のテレワーク廃止の公約を撤回したり、電気自動車(EV)減税の容認から廃止へ急転換したりして、政権交代の機運をしぼませつつある。同連合を率いるダットン自由党党首は「国をより安全にする」と国防費増額の加速を掲げ、巻き返しを図っている。
