東京-横浜-静岡「第三の東名」計画ついに動くか? 「伊豆湘南道路」27年目の“新局面” 難工事は確実の壮大プロジェクト

神奈川・静岡県境地域の自治体が長年にわたり求めてきた「伊豆湘南道路」の実現に向けた動きが、2025年度、新たな局面を迎えそうです。

「伊豆湘南道路」確実に局面が動いてる!?

 神奈川・静岡県境地域の自治体が長年にわたり求めてきた「伊豆湘南道路」の実現に向けた動きが、2025年度、新たな局面を迎えそうです。

 伊豆湘南道路は神奈川県小田原市、真鶴町、湯河原町、静岡県熱海市を経て函南町へ通じる新たな道路構想です。神奈川県側で西湘バイパスと、静岡県側で伊豆縦貫道と接続し、箱根の国道1号や相模湾沿いの国道135号の代替となる計画です。

 この道路ができると、静岡の東名・新東名から、神奈川の海沿いを経て、東京まで自動車専用道でつながる計画です(一部未整備区間あり)。

 このため関係自治体は伊豆湘南道路を「第三の東名」とアピールしています。第二の東名である新東名の海老名南JCT以東が具体化しないなか、ある意味、先に“第二の東名”を実現してしまう可能性すらあります。

 神奈川・静岡の関係自治体は1998年に伊豆湘南道路建設促進期成同盟会を結成し、以来27年、運動を続けてきました。2018年夏の台風による高波で国道135号が寸断されたことを契機に、高規格な道路をつくる気運が高まり、2県の担当者も交えた協議会、有識者も入った委員会が活発に行われるようになりました。

 そして2025年に入り、さらに風向きが変わってきているようです。

 その前段、2024年8月には地元選出(神奈川17区)の牧島かれん議員が財務大臣への直接要望を実施、さらに2025年2月には加藤憲一小田原市長による国土交通大臣への直接要望も行われました。いずれも期成同盟会26年以上の歴史で初めてのことだといいます。

 さらに、3月末に行われた第4回「神奈川と静岡の県境をまたぐ道路(伊豆湘南道路)に関する委員会」では、両県および自治体の関係者に加え、初めて国土交通省関東地方整備局と中部地方整備局の担当がオブザーバーで参加しています。

 ある関係者は「国が関与し出したのが大きな変化」と話します。牧島議員も4月5日に公式Xで「国土交通省がより深くコミットしてくれることになりました」「伊豆湘南道路実現に向けた大きな一歩です」と進捗を発信しています。

それは「第三の丹那ルート」

 2024年度の関東地方整備局の事業概要では、伊豆湘南道路について「計画の具体化に向けて神奈川県及び静岡県と連携して、東名、新東名、国道1号の代替性など、広域的な視点も含めた道路として求められる機能や役割について検討を進めます」と記されていました。

 これが2025年度版では、「(前略)広域的な視点も含めた道路として求められる機能や役割に加えて、地形・地質上の課題等の検討を進めます」と、少し踏み込んだ表現になっています。

 伊豆湘南道路を建設するうえで、避けて通れないのが県境部の“地質”です。箱根の南側、熱海から函南を抜けるルートが想定されているため、難工事で知られた東海道本線の「丹那トンネル」、東海道新幹線の「新丹那トンネル」に次ぐ第三のトンネルを掘ることになると考えられます。

 静岡県によると、大正から昭和にかけての丹那トンネル工事では、「大量のトンネル湧水が発生し、芦ノ湖3杯分(6億立方メートル)とも言われる水が失われました」とのこと。

 依然として箱根南部の丹那盆地周辺には配慮すべき地質リスクがあり、その技術的な検討が必要とされています。そこに、国土交通省も加わっていく見込みです。

 伊豆湘南道路は、富士山噴火にも備えた災害に強い道路となるだけでなく、広域道路ネットワーク上の位置づけも重要とされています。第3回の委員会では、中央道などを含めた首都圏-中京圏-近畿圏で並行する自動車専用道路網のなかで、この小田原から沼津にかけてが路線数・車線数で最も少ないエリアであることを明らかにしています。

 こうした課題を踏まえ、今後は国土的な見地も踏まえながら、ルート案の絞り込みが進んでいくと見られます。

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