
東京湾アクアラインの「時間帯別料金」が、より大きく差がつくよう改定されました。どう変化したのか、改定初日の周辺の状況を観察すると、混雑を避ける“最適解”が見えてきました。
アクアラインの料金「よりバキッと変動」
東京湾アクアラインの料金体系が2025年4月5日(土)から変更され、土休日に導入されている「時間帯別料金」の変動幅が拡大しています。混雑する時間に料金を高く、空いている時間に安くすることで渋滞緩和につなげる取り組みですが、混雑はどう変化したでしょうか。
神奈川県川崎市と千葉県木更津市をトンネルと橋で結ぶアクアラインは1997年に開通。その高額な建設費を償還するため、当初の通行料金は「普通車4000円」に設定され、利用は低迷しました。
しかし2009年にETC車の料金を「普通車800円」とする大幅な値下げで状況は一変、週末には「午前の下り(川崎→木更津)/午後の上り(木更津→川崎)」の渋滞が顕著となります。
そこで利用時間帯の平準化で渋滞を抑止するため、2023年7月22日より社会実験として、土休日の上り線に限り、「交通が集中する13時~20時の上りを1200円に値上げ」「20時~24時を600円に値下げ」する「時間帯別料金」の導入が行われました。
これにより値上げとなる13時~20時の交通がその前後に分散するなどの効果が得られましたが、実施2年目の夏期(7月~8月)は1年目夏期よりも交通量の分散の度合いが小さくなり、所要時間も増加傾向となりました。
このため「より差をつけた料金設定」によって上り線の混雑時間帯からさらに転換を図るべく、2025年4月に料金体系を改定。同時に下り線についても、交通が集中する朝5時~7時の渋滞対策のため、時間帯別料金が導入されています。土休日のETC普通車の料金は次のようになりました。
●上り線(木更津→川崎)
・4~13時:800円
・13~19時:1600円
・19~20時:800円
・20~翌4時:400円
●下り線(川崎→木更津)
・4~5時:800円
・5~7時:1000円
・7~24時:800円
・0~4時:400円
上り線は最大で4倍の料金差に。下り線も上りほどではないものの、格差が付けられた料金体系となりました。
ではこの料金改定は、実際にどのくらいの効果をもたらしたのでしょうか。料金改定初日となる4月5日(土)、上り線の通行料金が大きく変動する19時前から21時過ぎにかけて、現地で実際に検証してみました。
下道の“いちばん混むところ”で張ってみた
検証の方法はいくつか考えられますが、本線の渋滞長や通過所要時間による計測では、時間帯ごとの変化がわかりにくく、また「料金が変化する時間」を狙った利用者の動向が不明確となります。
そこで周辺施設を出てアクアラインに向かう利用者が集中するポイントのひとつ、千葉県道87号西行きが国道409号一般部と交わる交差点の右折レーンの渋滞長を観測することとしました。
さて観測当日、この交差点を起点とする右折レーンの渋滞長は、通行料金が1600円の18時30分ごろは直進レーンまで伸び、さらに金田東交差点を超え、おおむね200mほどでした。これが18時40分すぎになると、クルマが減り、渋滞長は100mほどに短くなります。ところが18時50分くらいからは再び長くなり、19時直前には30分前と同じ200mくらいまで戻ってしまいます。
この状況はしばらく続きますが、19時20分を過ぎると右折レーンに滞留するクルマがほぼいなくなり、クルマの流れはスムーズになりました。
クルマが再び増えはじめるのは、通行料金が400円となる20時の直前です。右折レーンの渋滞は徐々に延びていき、20時ちょうどには100mほどの列が形成されました。
この状況は、20時を回っても大きな変化はありません。そして20時20分くらい、徐々に右折レーンの渋滞は減りはじめたところで、現地での観測を終了しました。
こうした現象から推測できるのは、まず「通行料金が1600円から800円となる19時過ぎの流入を狙って、多くの利用者が動くこと」、そして「その利用者が一巡するとアクアラインに向かうクルマはいったん少なくなるが、400円となる20時前には再び通行量が増加すること」です。
見えたぞアクアライン攻略“最適解”
今回はあらたな社会実験による料金改定の初日だったこともあり、その内容が十分に周知されていなかった可能性がありますが、それでも19時、20時という“節目”を巡っては、とくに「800円安く」なる18時台から19時台の通行量の変動が大きかったように思えます。
通行料金をある程度でも節約したいのであれば、混雑がひと段落する19時半くらいのアクアライン流入を目指すのがおすすめでしょう。また最安値の時間帯となってもそれほど大きな混雑とはならなかったことから、時間に余裕があれば、もう30分待って20時過ぎの最安値時間帯を狙うのが、最適解となりそうです。
なお、上記交差点すぐそばには、20時まで営業の大型スーパーがあります。店内のイートインコーナーで過ごせば、長い右折待ちの最後尾に並ぶこともなく、おすすめです。