市長の公約一転、道路建設“容認”へ 東京多摩の南北道路“空白地帯”を貫く道 できたらどうなる?

東京都小金井市の白井 亨市長が、「中止・見直し」を公約として掲げていた都市計画道路の建設を一部容認する方針へ転換しました。どのような道なのでしょうか。

市長の方針を一転させた道、どんな道?

 東京都小金井市の白井 亨市長が、「中止・見直し」を公約として掲げていた都市計画道路の建設を一部容認する方針へ転換。2025年3月8日と11日に市内で説明会を開催します。

 市長は東京都が「優先整備路線」としている都市計画道路2路線について、「はけ」と呼ばれる野川沿いの国分寺崖線周辺の環境などへの影響が大きいとし「中止・見直し」を公約としていました。これを都に要望するうえで根拠を示すため、2024年に必要性について市で「独自の検証」を行ってきました。

 その結果、1路線は“容認”、1路線は「事業化の手続はいったん中止することが妥当」という方針を2025年2月に示しました。

■南北路線「府中東小金井線」は容認

 容認の方針となったのは、小金井都市計画道路3・4・11号線、都が「府中東小金井線」として整備するもので、甲州街道(国道20号)から東八道路を経て、五日市街道までを南北に結ぶ路線です。

 府中東小金井線は、府中市内の甲州街道から人見街道までは「あんず通り」として開通済み。小金井市内の連雀通りからJR中央線を経て五日市街道までは一部拡幅事業中ですが、「東大通り」として、それぞれ通行が可能です。

 そのあいだに立ちはだかる野川の「はけ」を横断する区間が、問題となっている箇所です。この東八道路から連雀通りまでの府中・小金井市境区間が未着手となっています。計画では、都立武蔵野公園と小金井市内の崖上の住宅街を貫きます。

 もし、この区間がつながると、府中東小金井線は西武多摩川線に並行し、「調布保谷線」(武蔵境通り、伏見通りなど)と「小金井街道」の間を貫く南北の幹線となり得ます。このエリアでは甲州街道から五日市街道までを貫く南北道路が存在せず、その役割を果たす小金井街道などが渋滞する要因ともなっています。

「いったん中止が妥当」とされた路線は?

 白井市長は、地域の課題である通過交通の解消や、防災上の重要性から、「当該道路の必要性は否めない」「東京都及び関係市に見直しを前提とした連携を申し入れることは困難」としました。ただし、自然環境保護の観点から課題が残るため、「環境に対する影響の低減に向けた、橋梁の設計内容について見直しを求める」としています。

 ちなみに、問題の地区の南側、府中市内の西武多摩川線多磨駅付近では、「ららぽーと」を展開する三井不動産の大型商業施設の出店が計画されています。場所は甲州街道と東八道路のちょうど中間付近。府中東小金井線が細い人見街道に代わる東八道路へのアクセス路となり得ます。

■東西路線は「いったん中止」

 もう一つの路線である小金井都市計画道路3・4・1号線については、「国分寺崖線(はけ)への影響が明らかであるため、事業化の手続は一旦中止することが妥当」とされました。

 この路線は、崖上を東西に結ぶ連雀通りから分岐して真っすぐ西へ、小金井街道を経て新小金井街道までを結ぶ約2kmの道路です。武蔵小金井駅南側に通じる連雀通りに対し、駅近くを避けるバイパスのような路線となります。

 市長は、「当該路線と並行する連雀通り及びその他の代替する道路ネットワークについても検討する必要がありますが、連雀通りは都市計画道路ではないため、既存のまちづくりを踏まえた調査が必要」「現時点において、周辺道路、現場の地形条件、生活文化への影響等の観点から、十分な検討が行われているとは言い難いと考えます。これらの内容が整理されるまでは、事業化の手続は一旦中止を求めることとします」と結論付けました。

 現在、その連雀通りの分岐点には細い急坂があり、計画線沿いには低地の住宅街が広がっています。崖上の武蔵小金井駅付近から、小金井街道がその住宅街を擁壁と高架橋で一気に跨いでいるように、高低差も大きい地形です。

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