史上最大級の練習船 海上保安庁向け「いつくしま」就役 船橋二段がまえのメリットは?

海上保安官の増勢に対応しなきゃ

船名は配属先に由来

 海上保安庁は2024年7月2日、大型練習船「いつくしま」が就役したと発表しました。 「いつくしま」は前日の7月1日に、山口県の三菱重工下関造船所において引き渡されたそうで、主に瀬戸内海などを担当エリアとして受け持つ第六管区海上保安本部に配属され、海上保安大学校の練習船として運用されると言います。 海上保安庁の練習船が就役するのは、1998年の「みうら」以来、26年ぶりのこと。昨今の海上保安庁の任務増大に伴う規模拡充に伴い海上保安官も定員を増やしており、それを踏まえて「いつくしま」は建造されました。

「いつくしま」は海上保安庁の練習船としては最大級となる総トン数が約5500トン、全長134mの大きさを誇ります。また、外観で特徴的なのは上下2段に分かれたブリッジで、上部は航海船橋、下部は航海実習などの教育で学生らが使用する実習船橋となっています。これは、短期間で効果的に乗船実習を実施できるよう設けられた設備で、双方の船橋とも同じ航海計器が据え付けられており、両方で操船することが可能です。 従来は航海船橋に学生らも混ざって教育・実習を受けていましたが、通常の業務を行っている航海船橋と実習船橋を分けることで、航行中でも多数の学生・研修生が操船方法などを学べます。さらにこれまで安全運航の都合上できなかった火災など緊急時の対応訓練においても、実習船橋は活用できます。  このほか、練習船の設備として訓練業務統括区画や通信科演習室、機関科演習区画が設けられているうえ、船尾側には船内で授業を行うための学生教室や、外国の港を訪問した際にレセプションなどを行える多目的室が置かれており、通常の巡視船に比べて船室が多くなっています。 ちなみに、船名は広島の著名な観光地である厳島(いつくしま)が由来とのこと。これは同船の運用上の拠点となる海上保安大学校が、広島県の呉市にあることに由来します。 また「いつくしま」とは別に、海上保安庁は新たな練習船として「ヘリコプター搭載型巡視船(国際業務対応・練習船)」の建造も進めています。同船は2025年度に命名・進水し、2026年度に就役する予定です。

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