原因不明だった体調不良に「兆し」 上原彩子が11年ぶりのQT会場で見せた明るい表情

<LPGA Qスクール(予選会)セカンドステージ 初日◇17日◇プランテーションG&CC(米フロリダ州)◇ボブキャット・コース=6543ヤード・パー72、パンサー・コース=6363ヤード・パー72>

米国女子ツアーに参戦するために、初めて予選会を受けたのは2012年のこと。 11年ぶりとなる戦いに、上原彩子は身を投じている。「たぶん、初めて予選会を受けた時のコースとは違う場所だと記憶しているんですけど…」。曖昧になってしまうほど、本人にとっても初挑戦時のことは少し“昔の話”になっている。
13年からは順調にシード選手として歩みを進めてきたが、その潮目を変えたのが体調の悪化だった。21年の春頃から「原因不明」の湿疹に悩まされ、さらに「肺に水がたまる」などの症状も起こるようになった。同年7月にはツアーを一時離脱し、復帰できたのは翌年の9月。実に1年2カ月も療養期間を過ごしたことになる。

そこからは公傷制度を利用してシード維持を目指してきたが、規定を満たすことができず、今年、再び予選会を受けることになった。「本当にイチからという気持ち。落ちるところまでいったら、もう上がるしかない。上だけを見てプレーしたいですね」。ここがリスタートの場となる。

復帰したものの、根本的に治ったわけではない体調は、一進一退の状態が続いてきた。つい1カ月ほど前も、寝られないほどの症状に苦しめられていたという。「実は」と言って明かしたことがある。「予選会も欠場しないといけないかなと思って、協会に問い合わせもしていました」。それだけに、まずここに居られることがうれしい。

話を聞いている時、上原の表情が一気に明るくなる話題があった。「今までいろんな病院で『原因は分からない』と言われてきたんですけど、やっと“これじゃないか”というのが見えてきたんです。それで食事療法を試したら、寝られるようにもなって。やっと兆しが見えました」。聞くと、その食事制限の内容はハード。砂糖、白米、乳製品など、糖分はまず摂取できないし、基本的に野菜中心になるが芋類などは禁止されている。制限は多いが、それでも体調が戻っていることを実感できることが今はうれしい。

「もっと挑戦したい気持ちがある。海外でできるだけ頑張ろうと思っています」。ブログでは、米国の予選会に加え、欧州ツアーのQTを受けることを発表していたが、改めてその決意を自らの口で語った。まだ米国で優勝も未経験。39歳になっても、情熱が尽きることはない。

今年は上原含め、このステージ2で原英莉花、アマチュアの馬場咲希ら8人の日本勢が戦っている。前回受けた時とは大きな差だ。上原も「私が来た時はまだ日本人はレベルの差が大きかった」と振り返る。しかし今は「日本自体のレベルがあがっている」と感じてきた。

「若い選手がチャンレンジするのはすごくいいこと。内側の世界しか見ないのはもったいない」。こんなエールも送る。そしてこの現状は「私も負けないように頑張りたい。後輩からもたくさん刺激がもらえる」と、上原の向上心にもまた火をつけてくれるものだ。

初日は2オーバー・92位と出遅れたが、残り3日間で通過ラインの上位40位以内を目指していく。「調子自体いいかといわれるとそうではない。でも今の自分のゴルフでどうスコアを作っていくか、それが大事になる。伸ばさないと次のステージには行けないので」。今感じられている“兆し”が、だんだんと大きな光になっていくことを信じて、これからも海外でクラブを振り続けるつもりだ。(文・間宮輝憲)

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