『SPY×FAMILY』新OPで登場“双頭の珍飛行機”は実在!? 「2つの機体くっつけよう」と思ったワケ

アニメ『SPY×FAMILY Season2』新OPの後半には奇妙な双頭の飛行機が出てきます。実はこの機は空想ではなく、似たような形に戦闘機が存在します。「ツインマスタング」です。

OPで登場した珍機と似たものは実在します!

 アニメ『SPY×FAMILY Season2』の放送が2023年10月7日からテレビ東京系ほかで開始されました。新オープニング(OP)主題歌『クラクラ』は歌手のAdoさんが歌い、映像の方は『四畳半神話大系』『ピンポン THE ANIMATION』『映像研には手を出すな!』などで独特な個性を発揮したアニメ監督の湯浅政明さんが絵コンテ・演出を担当するなど、話題となっています。

 このOPの終盤に登場する“謎の飛行機”も注目です。それは2機の航空機をそのまま合体させたような奇妙な形状の機体ですが、実はほぼ同じような機体が現実にも存在しました。F-82「ツインマスタング」という戦闘機です。「ツインマスタング」は1945年の6月15日にアメリカで初飛行。その名前の通り、P-51「マスタング」をふたつ合体させたような構造になっており、「双子機」とも呼ばれています。 なぜ、このような機体になったかというと、パイロットの負担軽減という狙いがありました。

ふたりで長時間飛行の負担を減らす

 通常、爆撃機の護衛任務などに着く場合、戦闘機のパイロットはひとりで長時間の飛行をした後、さらに敵地で友軍機の護衛をしなければなりません。当然ですが、任務につくパイロットの負担はかなりのものです。 そのため、ふたつの航空機を合体させ、もうひとりパイロットを搭乗させることで、その負担を軽減させようと開発されたのが「ツインマスタング」でした。P-51「マスタング」という既存機体の部品を流用することで、開発期間やコストの軽減も考えられていました。 ただ、さすがに単純にふたつの機体を繋げるというわけにはいかず、機体後部や垂直尾翼などは大幅に改修されました。さらに、エンジンも左右で回転方向を逆にしており、設計はほとんどやり直しに近かったそうです。 しかし、同機を投入予定だった第二次世界大戦は、日本が降伏したことで終了してしまい、生産機のほとんどがキャンセルとなってしまいます。ところがB-29の後継機であるB-36が登場すると、通常の単発機より長距離を飛べる「ツインマスタング」が再評価され、生産が再開されることになり、日本にもアメリカ軍が配備したことがあります。

 さらに朝鮮戦争では、主要中央にレーダードームを設置した、夜間戦闘機型が投入され、当時のジェット機では難しかった長距離戦闘や夜間での戦闘に使われることになりました。 ちなみに、『SPY×FAMILY Season2』のOP機体は尾翼の形状こそ違いますが、機首の液冷エンジン周りの形状や、バブル型のキャノピーなどが「ツインマスタング」によく似ています。

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