
<日本女子オープン 事前情報◇26日◇芦原ゴルフクラブ 海コース(福井県)◇6528ヤード・パー72>
「勝ったのは3年も前なので過去の話。小さいときから、『この大会に出たい』と思ってやってきました。また新しい気持ちでこの試合で勝てたらいいなと思いますね」。2020年大会の覇者として出場する原英莉花にとって、このナショナルオープンはいつまでも特別な試合。そのトロフィーは、いくつあってもいい。
初めて出たのは、今回のコースからほど近い片山津GC白山C(石川県)で行われた15年大会。当時アマチュアだった原は2日間で12オーバーを叩き「歯が立たなかった」ことを鮮明に覚えている。しかし、そこから5年が経ち、憧れのタイトルを手中におさめた。今回は大会2連覇中だった勝みなみも欠場。9度目の出場となる原は、今回はエントリーした選手のなかで唯一歴代覇者の肩書きを持つこともあり、自然と注目も集まってくる。
日本海のすぐそばにあるコースは、起伏が激しいのが特徴だ。砲台グリーンも多く、ショット地点からその面が見えないホールもある。ただ「アップダウンがあるコースのほうが、イメージが出しやすくて苦にならない」という自信もうかがわせた。小さい頃からホームコースにしてきた神奈川県の葉山国際CCも、やはりアップダウンが激しいコースというのも、そのひとつの理由になる。あとは足の疲労が、どうプレーに影響するか。そこに警戒を払う。
「自分の状態は前向きです」と表情は明るい。5月にヘルニアの摘出手術を受け、8月の「北海道meijiカップ」で復帰したばかり。戻ってきた後はティショットが荒れることも多かったが、ようやくイメージと実際の出球が一致することも多くなってきており、それが“前向きさ”につながってくる。「不安が減ってきました」。ラフもしっかりと生えそろう女子オープンのセッティングでは、フェアウェイキープがスコアメイクにおいて重要にもなってくる。そのため、ドライバーショットの改善は大きな意味を持つ。
日本で発見された恐竜の化石の多くがこの地で発見されてきたこともあり、福井県は“恐竜王国”の異名でも知られる。これには「好きなの~。歴史というよりは、キャラクターとしての恐竜が好き。かわいいですよね」とテンションもあがる。今回の大会ロゴも恐竜がメインになっているが、それについても「かわいい~」を連呼する。特別な大会、かわいい恐竜。そのタイトルの大きさはもちろんだが、こんなポイントにもグッとさせられている。
コースを回った月曜、火曜は穏やかな天候だったが、海岸沿いとあって風が吹けば、たちまちコースの表情は変わってくる。静かなまま4日間が終わるとは思えない。「アップダウンがあるので、風が舞うところもあるのかな。基本風と舞っている風をどうジャッジできるか」。シビアな選択を迫られることもあるが、自信も戻りつつあるドライバーショットも生かし、恐竜のように迫力のあるゴルフで2度目の優勝に向かっていきたい。(文・間宮輝憲)