中央線グリーン車なぜ「両開きドア」採用? ガバッと開く仕様の理由 実は“旅客向けだけじゃない”

JR中央快速線でグリーン車を組み込んだ編成の試運転などが始まっています。他路線のグリーン車と異なる大きなポイントの一つが、乗降扉の「両開き」仕様です。実は混雑対応だけでない理由がありました。

カギは「東京駅」にあり

 JR中央快速線で、グリーン車の導入に向けた準備が進んでいます。2023年8月には同線で試運転も始まり、多くの人の目に触れるようになってきました。現在、中央快速線の有料着席サービスは特急列車のみとなっていますが、グリーン車が導入されれば、特急が停車しない駅の利用者もサービスを享受できるようになります。 その新しいグリーン車には大きな特徴があります。乗降扉がドアがこれまでの「片開き」から「両開き」に変更されることです。どのような背景があるのでしょうか。

 普通列車グリーン車は現在、東海道線、横須賀線、宇都宮線、高崎線、常磐線、総武快速線などに導入されており、グリーン車のドアは片開き式となっています。  JR東日本は、中央線グリーン車のドア形状を変更した理由として、各駅でのスムーズな乗降を可能にするためなどとしています。両開き式のドアは、片開き式のドアよりも「出入口部面積が拡大し、乗り降りをしやすくしています」(広報部)とのこと。そして両開きドアを採用したもう一つの目的が、「東京駅での折り返し時間が他線より短いこと」とされています。  現在運行されている普通グリーン車では、折り返しの時間を活用して座席背面テーブルの収納、座席の方向転換、車内の清掃などが行われます。中央快速線は他路線よりも本数が多く、特に東京駅ではラッシュ時は最短2分で列車が折り返していきます。  そのため、JR東日本は「東京駅で時間内に車内整備を完了すべくシミュレーション訓練を実施しています」(同)と話します。中央快速線のグリーン車の車内整備では、大型の両開きドアで少しでも早く乗客を降ろし、車内整備を完了させるタイトな動きが求められそうです。

中央快速線以外へのグリーン車の拡大は?

 中央線グリーン車の具体的なサービスに内容に関しては、現時点では決まっておらず、今後発表される予定。宇都宮線・高崎線や常磐線では、グリーン車のサービス開始前に無料で乗車できる「お試し期間」がありましたが、中央線でも設定するかどうかは未定だそうです。また、JR東日本は、中央快速線以外に普通グリーン車を拡大していく計画はないとしています。  現在、中央快速線は10両編成で運行されていますが、東京方の4・5両目にグリーン車2両が増結され、12両編成となる予定です。グリーン車の導入は、オレンジ帯のE233系で運行される中央線快速「全列車」が対象。大月行きや、中央快速線と直通する青梅線の列車にも連結される予定です。  グリーン車の導入時期をめぐっては、2023年度末を予定していたサービス開始が少なくとも1年程度遅れる見込みであることが発表されています。

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