
全国にはホームに「0番」という表記を持つ駅が約30か所あります。なぜ「1」ではなく「0」から始まるのでしょうか。また西日本には、変わったものもあるようです。
番号の振り方は駅の生い立ちによってさまざま
駅のホームには基本的に、1番から始まる番号が振られています。しかし、中には「0番」が振られているものも存在します。 ただ、0番というのは決してレアなものではなく、全国には30か所ほどまだ残っているとか。しかも、昔作られた駅だけでなく、近年開設された駅で新たに設けられたケースもあります。さらには「0A」「0B」を称するのりばも存在するとか。 どのような経緯で「0番ホーム」「0番のりば」は生まれたのでしょうか。
そもそも、ホームやのりばは、番号の振り方に一定の決まりがあるといわれます。かつて国鉄(現在のJR)では、「駅本屋」という駅業務を行うメインの建物に近いホームを1番線とし、そこから遠くなるにつれて2番、3番と番号を振っていました。実際、JRの東京駅は駅長室が丸の内側(西側)の赤レンガ駅舎にあることから、それに隣接する中央線快速のホームから「1」「2」というように番号が振られています。 また私鉄のなかには、駅長室の位置に関係なく、下り線側から一律に「1」「2」と番号を振っている会社もあります。 ただ、この場合だと駅本屋側にのりばを増やす場合に、いきなり飛んだ番号をつけるか、もしくはすべての番号を新たに振り直す羽目になってしまいます。それを回避するためにホーム1つ、線1本だけなら、「0番」を付けた方がスムーズです。これだと既存の番号に手を加える必要がないため、ホームの番線表示や駅構内の案内表示などもそのまま使え、更新は必要最小限で済みます。
誤字ではない「霊番のりば」なる駅も」
「0番」が登場する理由として多いのが、この1番のりばより駅長室(駅舎)側にのりばを増やした場合だといわれています。 熊本駅がこれに当てはまりますが、この駅の場合、それがさらに“発展”。鹿児島本線下りや豊肥本線、三角線の列車が発着するのりばは単に「0」ではなく、「0A」(0番Aのりば)と「0B」になっています。 このほか0番が生まれるケースとしては、複数の鉄道会社がホーム番号を共有している駅でも見られます。
たとえばJR東日本と上信電鉄が乗り入れる群馬県の高崎駅は、ホームが両社で通し番号になっています。かつて上信電鉄は9番線と呼ばれていましたが、JRの番線新設に伴い、0番に変更された経緯を持っています。 一方で、鳥取県には少し変わったケースも。米子駅の境線が発着する0番のりばは、「霊番のりば」とも呼ばれています。境線の終点、境港が『ゲゲゲの鬼太郎』『のんのんばあとオレ』などの作品で知られる漫画家、水木しげるさんの出身地であることにちなんだものです。