
クレジットカード会社発行のETCカードを持たない人でも、ETCで高速道路を利用できる「パーソナルカード」の利用条件が変更されます。料金所のETC専用化が進む中、高速道路というインフラの“公共性”維持のために重要な改正ポイントです。
パーソナルカードの保証金、最低2万円→3000円に!
現金の使えない料金所が増えることから、高速道路各社が共同で運営する通行料金支払い専用カード「パーソナルカード」の条件が見直されます。クレジットカード会社が発行するETCカードに依存せず、低額でも高速道路を利用できる可能性が広がってきました。
高速道路各社で運営するパーソナルカードは、2023年3月1日から申込時に必要な「保証金」の最低額が、これまでの2万円から3000円に引き下がります。最低保証金額を少額からにすることで、カード加入をしやすくします。 パーソナルカードは保証金を事務局に預けることで、自分で利用限度額を決められるETC支払い専用カードです。利用額は保証金の範囲内で、これまでは80%が上限でしたが、今回の改定で保証金額分の全額を利用限度額として設定できるようになります。 保証金は交通系ICカードのような前払い金ではなく、無利息の預託金(デポジット)です。現在、パーソナルカードを使っている利用者にも、利用限度額の拡大は歓迎されています。
保証金が引き下げられる仕組みが、今後は必要
保証金の設定額を超えると、パーソナルカードは使えなくなります。ここで設定する利用限度額は、月々の請求分ではなく、利用したすべての通行料金の総額なので、事務局は利用停止にならないよう、目安として単月の利用分の4か月分を保証金とすることを推奨しています。 たとえば保証金3000円の場合、月々に利用できる目安は750円程度。仮に初月で3000円分の通行をすると、翌月は利用できなくなります。再開には、その月の支払いが終わるか、請求総額を上回る保証金の積み増しが必要です。2万円からの保証金が、3月からの改定では3000円、5000円、1万円と細分化されたため、積み増しもしやすくなりました。 ただ、既存の利用者からは、こんな声があります。「高速道路の利用頻度には変動があるので、いちばん使う月で保証金を設定したいが、一度積み増しした保証金は下げることができないので、どうしても高速道路の利用に慎重になる。なぜ下げられないのか」
通行料金の現金での支払いは各種割引が受けられず割高となり、今後もETC専用料金所が増えることで利用しにくくなります。反面、ETCカードだけしか決済手段がないと、実質クレジットカード会社が高速道路の利用者を選別していることになります。高速道路という高い公共性を維持するためには、パーソナルカードという第三の決済手段の維持は、今後も重要です。