第63話 株式市場も夏休み?(その2)

株の神様に投資の本質を教えてもらっているTさんは、奥様のA子さんや高校生の娘Y、中学生の息子Sにも、そのポイントを将来役立つ知識として伝えています。夏休みのとある日、株式市場の「夏枯れ」と言われる、株式取引が1年の中で少なくなる現象について家族で話題になっています。

S:「夏枯れ」が起こるのは、単純に、株に関わる人達がお盆休みや夏休みになるからじゃないの?

T:確かに市場参加者が減るため株式市場の取引高が減少し、相場があまり動かなくなることも背景にあるかもしれないね。

Y:しかも売買代金も低いということは、株価が安目の取引の比率が多いということかしら。

A子:投資家心理で、みんなが「8月は相場が動かない」と思っているから動かない、なんて側面もあるんじゃないかしら。

T:いろいろ背景や理由が考えられるよね。「夏枯れ」のような現象を総じて「アノマリー」という言うんだよ。

S:アノマリー??どういう意味?

Y:「変則」とか「例外」という意味じゃない?

A子:さすが、お姉ちゃん!よくわかるわね!!

Y:一応、英文科志望だからね(笑)

T:そうだね、アノマリーは、ある法則や理論から見て異常や例外で、説明できない事象のことを言うんだけど、株式市場においては、はっきりとした理論的な根拠を持つわけではないけれど、昔からよく当たるとされる経験則のことを言うんだよ。

S:「夏枯れ」以外に、どんなものがあるの?

T:そうだな~、月に関わることだと「12月の株価は安く、1月の株価は高い」という経験則もある。

Y:へー、それなら「夏枯れ」と同じ要領ですぐ調べられそうだから、後で本当かどうか調べてみよう!

T:「節分天井」「彼岸底」なんてのもあるぞ。

A子:何だか、季節の趣のある響きね〜

T:年末の反動で年始に値上がりした株価も節分(2月3日)の頃には天井を打ち、彼岸(3月20日)の頃に底値になるという経験則なんだ。

S:他には?なんか変わった面白いものないの?

T:アノマリーのアノマリーだね(笑)。 「2日から取引が始まる月は相場が荒れる」というのがあるぞ!

Y:それは、調べるのが難しそうだわー

T:アメリカにもあるんだよ。例えば「大統領サイクル」。

Y:それ、覚えやすそう!

T:米国株は中間選挙の年を安値に、大統領選挙の年に向かって上昇する。

A子:そういう政治的イベントが絡むものだと合理性もありそうね。

T:そうだね、実際にこういう経験則を知ることによって、投資の成果向上につなげられる可能性もあり、参考にしている投資家もいるみたいだよ。 そうそう、さっきYちゃんがこの夏の時期は、「株価が安目の取引の比率が多いかもしれない」と言っていたけど、実は「夏は中小型株が注目されやすい」という経験則があり、これと関係があるかもしれないね。

(この項つづく)

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