第83話 2018年は福来るか?

株の神様の声が聞こえるというTさん。投資の心構えやコツを、時折神様から伝授されています。いよいよ年の瀬。株の神様とTさんが、過去を振り返りつつ、来年の見通しについて話しています。

神様:2018年は戌(いぬ)年ですね。東京証券取引所が再開された1949年以降で戌年は、1958年、1970年、1982年、1994年、2006年と5回あるのですが、それぞれの年がどんな1年だったかを振り返ると来年を見通す上で何か参考になるかもしれませんね。

T:それは面白いですね。ただ、1958年はさすがに私はまだ産まれておりません(笑)

神様:1958年は高度経済成長につながる「岩戸景気(景気拡張期間42カ月)」が7月から始まった好環境の時期でした。次の、1970年は景気拡大期が57カ月に及んだ「いざなぎ景気」が7月に終焉を迎え、先行きに不安が見え隠れしました。

T:「岩戸景気」「いざなぎ景気」というのは子供心に聞いた言葉です。好景気が4−5年も続いたということなんですね。

神様:そう、まさに高度成長期でした。次の1982年になると少し異なる様相となります。第2次石油危機後の景気停滞から抜け出しつつある中、米国の景気後退と高金利が日本経済にとって景気への大きな制約条件となりました。ただ、それでも年度では内需を中心に3%台の経済成長(実質GDPベース)となり、その後の景気回復へとつながりました。

T:私が中学生の頃ですね。英国とアルゼンチンとの間にフォークランド紛争が勃発した年だったと記憶しています。

神様:1994年は、政治的に大きな節目の時期でした。戦後日本の政党政治の構図であった55年体制の崩壊で、前年に誕生した非自民政権の細川内閣が総辞職し、羽田内閣が受け継ぎましたが、2カ月あまりで自民、社会、さきがけの連立による村山内閣が取って代わりました。

T:前回の戌年である2006年はよく覚えています。前年の郵政解散・総選挙で勝利し、郵政民営化関連法案を成立させた小泉内閣の後を次いで安倍第一次内閣が発足した年であり、2018年の戌年は安倍内閣にとっては2度目の戌年となります。

神様:このように、過去の戌年は、政治、経済や景気の転換点となってきたのです。

T:歴史のサイクルは興味深いですね。来年も大きな転換点となるかもしれないということですね。

神様:相場格言では戌年は「戌笑う」といわれ、株高傾向がみられます。過去5回の戌年における日経平均株価の平均騰落率は、9.8%ですが、岩戸景気が始まった1958年が40.5%と大幅に上昇したほか、その後の景気回復につながった1982年が4.4%、1994年が13.2%、2006年は6.9%といずれも上昇しました。

T:下落したのは1970年だけなんですね

神様:そうです。「いざなぎ景気」の終着点でしたからね。下落率は15.8%です。

T:ところで、今の景気拡大が来年2018年12月まで続けば、2002年2月から73カ月間続いた戦後最長の景気回復に並ぶことになり2018年は、戦後最長の景気拡大への大きなステップとして重要な年となりますね。

神様:今のところ景気減速の兆候はみられません。景気の拡張期は株高の傾向との過去の経験則に従うのであれば「笑って年を越せる」年の可能性が高そうです。ただ、政治的には北朝鮮と米国の緊張関係をはじめ、予断を許さない状況が世界各地で見られますから、現実的には情報収集と分析を怠ってはいけませんね。

(次回1/3「新年の遊び今昔〜遊びに投資すべきか?」を掲載予定)

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