反トランプ現職、「刺客」に敗北=共和予備選、掌握力の強さ見せる―南部ケンタッキー州・米中間選挙

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 【ヘブロン(米ケンタッキー州)時事】11月の米中間選挙に向けた共和党予備選が19日、南部ケンタッキー州で行われた。トランプ大統領への批判を強める現職のマシー連邦下院議員が、トランプ氏が「刺客」として擁立した元米海軍特殊部隊員のギャルライン氏に大差で敗れた。対イラン軍事作戦などで支持率が最低水準に落ち込む中、トランプ氏が党や支持者に対する掌握力の強さを見せつけた。
 「立法府(議会)が常に大統領に追随するなら王を頂くことになるが、憲法に従うなら共和国であり続ける」
 マシー氏は19日夜、敗戦の弁でこう強調した。同州ヘブロンに集まった支持者は「マシー」コールで健闘をたたえた。CNNテレビによると、開票率99%時点でギャルライン氏の得票は54.9%、マシー氏は45.1%。トランプ氏は「マシー氏との戦いに勝った」と誇らしげに語った。
 2012年から下院議員を務めるマシー氏は、共和党内で異色の「反トランプ派」として知られる。米富豪エプスタイン文書公開ではトランプ氏の意向に反し、野党民主党と足並みをそろえて開示を主導した。対イラン戦を巡っても、軍事介入に反対の立場から、トランプ氏の軍事権限を制約する決議案を提出した。
 これに対し、トランプ氏は自身に逆らう「政敵」への敵意をむき出しにした。3月にはケンタッキー州に乗り込み、演説でマシー氏を「共和党の災い」などと激しく非難。18日にはイラン作戦の指揮を執るヘグセス国防長官も投入した。選挙戦では両陣営合わせて下院予備選史上最高額の2500万ドル(約40億円)超の広告費が投じられ、投開票日当日もテレビではマシー氏を中傷するCMが流れ続けた。
 マシー氏の訴えはトランプ氏がもともと掲げた主張と重なり、同氏の岩盤支持層「MAGA(マガ)」派と通じる点が多い。18日にバンスバーグで行われたマシー氏のバーベキュー集会に駆け付けたコンスタンティン・サバスさん(72)は、「私はマシー氏もトランプ氏も支持している。2人ともMAGAを体現しているからだ」と複雑な心境を漏らした。
 ただ、共和党支持者の間では、政策よりもトランプ氏への忠誠心を重視する空気がなお強い。これまでマシー氏を支持してきたリッチ・ウェザーズさん(85)は、「共和党や政権の方針に反するようになったため関心を失った」と述べ、今回はギャルライン氏に投票したと明かした。
 共和党予備選では、中西部インディアナ州や南部ルイジアナ州でもトランプ氏に反旗を翻した現職議員が同氏支持候補に相次ぎ敗北。トランプ氏に異を唱えるには高い政治リスクが伴うことが浮き彫りとなった。マシー氏に票を投じた男性は、「経済も外交も今進んでいる方向は明らかに間違っている。本選で(共和に厳しい結果が出て)現在の方向性が変わることを望む」と語った。 
〔写真説明〕共和党予備選の結果を受け、支持者に敗戦の弁を語るマシー連邦下院議員=19日、米南部ケンタッキー州ヘブロン
〔写真説明〕共和党予備選に向けた集会で壇上に立つギャルライン氏(右)とヘグセス国防長官=18日、米南部ケンタッキー州ヘブロン