法理解せず差し押さえか=年金機構、7割強「規定知らない」―社会保険料巡り、裁判も

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 企業が横領の被害を受けた場合、社会保険料納付の猶予が認められる―。そんな法規定について、理解していない日本年金機構の職員が多数いる疑いがあることが20日までに、大阪府の運送会社が行ったアンケート調査で分かった。対象の7割強の年金事務所が規定を「知らない」などと回答したという。
 年金機構の元管理職で社会保障制度に詳しい男性社労士は「年金機構になってから研修の量が減少していることが原因ではないか」と分析している。
 調査は運送会社「シーガル」(同府高槻市)が実施。全国312の年金事務所から50事務所を抽出し、規定の認知度を調査した。その結果、39事務所の徴収担当職員が「知らない」「横領については取り決めがない」などと、誤った回答をしたという。
 同社は差し押さえを巡り、年金機構と国を相手に損害賠償請求訴訟を起こしている。裁判記録などによると、同社は、経理担当者が同社資金を横領していたため、社会保険料などを滞納。年金機構側は滞納分に充てるため、同社の売掛金や預金などを差し押さえた。
 だが、社会保険料滞納での差し押さえに準用される国税通則法は、災害、盗難または病気、負傷に類する事実があった場合、納付の猶予が認められると規定。同法の通達は「詐欺、横領等により財産を喪失したこと」も猶予される場合に含まれるとしており、不服審査機関の社会保険審査会は差し押さえ処分を取り消した。
 同社側は、差し押さえ処分を受けたことで、運送契約を解除されたなどとして、年金機構と国に損害賠償などを請求。機構側は、差し押さえたのは同社の猶予申請に不手際があったためで、処分自体は適法だったと反論し、今も大阪地裁で係争中だ。
 機構は「係争中のため回答を控える」としている。 
〔写真説明〕日本年金機構本部=東京都杉並区