「名もなき家事」にスポットライトを

そもそも家事とは

私たちが日々当たり前のように取り組んでいる「家事」。
改めて向き合うために、定義を確認してみました。

家庭生活を円滑に営んでいくうえに必要な諸作業をいう。
家事は人間の生命維持に直接関係あるもので、家庭生活を支えるものである。
(出典:ブリタニカ国際大百科辞典)
とあります。

そう、私たちが家事をしているからこそ生活を円滑に営むことができていて、さらに”生命維持に直接関係あるもの”なんですね。
もし、私たちが家事の手を止め、誰もそれを行わなければ生命維持が出来ないのです!
大袈裟に感じますが、それほど大事なことだということが分かります。

では、具体的にどこまでが家事だと認識されているのでしょうか?

名もなき家事について

炊事、掃除、洗濯、育児など”分かりやすい家事”に関しては、夫婦で上手く分担している家庭も多いでしょう。
一方で、華やかな家事の裏には表には見えない地味な作業が必ず存在します。

例えば、「料理を作る」という家事の裏には
「メニューを毎日考える」
「冷蔵庫の中の食材を把握し、補充しておく」
「食器や器具を洗う」
「出たゴミの始末をする」
などの作業が必要です。
材料費の事も考えずに豪華な料理を1回作ったからって、家事をしたとは言えませんよね。

「子供の面倒を見る」の裏には、
「継続的に体調に気を配る」
「園や学校のお便りに目を通す」
「ママ友との付き合い」
「爪を切る」
なども含まれます。
休みの日にたくさん遊んだだけで、育児をしているとは言えませんよね。

他にも、
「テーブルを拭く」
「玄関の靴を揃える」
「テイッシュペーパーを補充する」
「布団を整える」
……など、一見”そんな些細なこと”と思われそうな作業こそが、「名もなき家事」となって妻たちの負担になっているのです。
こうして、妻が家事だと思っている事と夫が家事だと思っている事にズレが生まれていくという現実があるのです。

妻たちを動かすもの
夫の見えていない部分で妻の負担が大きくなっているとはいえ、日常は変わらず流れていきます。
生活パターンもそう簡単には変えられないでしょう。
それでは、どうやって解決していくべきなのでしょうか?

中には、名もなき家事を可視化して、リストに基づき夫婦で分担することで解決した家庭もあり、とても素晴らしい方法だと思います。
しかし、実は妻の負担は家事の量や時間だけではなく、心の負担であることが多いのです。
つまり、心の負担さえ軽くなれば問題は一気に小さくなります。

気づいてもらうこと
名もなき家事を夫婦で分担するにしても、まずはその存在に気付いてもらうことが必要です。
「誰にも気付かれない」「誰にも感謝されない」のに自分だけがやっている。
これが、いつの間にか妻の心の負担となってしまうのです。

上手に気付いてもらう方法が見つけられれば良いのですが、ここがなかなか難しい部分ですよね。
大変そうな姿を背中で訴えても、気付かない男性は気付きません。
ちょっと強気に訴えようものなら、「俺だって頑張っている」と逆ギレされるパターンも……。

やはり、日々のコミュニケーションの重要性を感じます。
NPO法人tadaima!の家事シェア白書によると、夫の家事の割合と、妻の満足度は比例しないのに対して、家事についての会話の量と妻の満足度は比例することが分かっています。
この結果からも、”いかにコミュニケーションがとれているか”がポイントだと言えるでしょう。

言葉の力
コミュニケーションは言葉だけではありませんが、短い時間でお互いを理解し合うには最適な手段です。
いつのまにか言葉少なになる夫婦にとっては努力すべき点でもありますよね。

「これ、やっておいたからね?」
「あれお願いできるかな?」
「気付かなかった、ありがとう」
「今度はやっておくね」
「今日は◯◯にやってもらおう!」

思いきって言葉に出して表現していくと変化が訪れるのではないでしょうか?
ただ単に家事を分担すれば良いのではなく、名もなき家事を含めた全ての家事は夫婦のみならず家族みんなのものだという意識を持ってもらうべきです。
言葉にすることで認識され、意識を向けることでスポットライトが当たり、はじめて報われます。

期待しない在り方

そうは言っても、(何で私だけが…)という思いが出てきてしまうのは当然の心の動きです。
だからと言って、心の中で
(私だけが頑張っているなんておかしい!!)
と唱え続けていては、言葉全てに相手を責めるニュアンスが乗ってしまいます。
そうなっては、何も良いことがありません。
気付いてよ!感謝してよ!手伝ってよ!……この求め続けるループは実はキリがないのです。

そんな時、少しでも違う方向へ気持ちを変化させるために私が実践しているおすすめの方法があります。
それは、「自分で自分をほめてあげること」です。
「私って毎日こんなにがんばっていて本当にエライぞ!」と心から自分に言ってみてください。
はじめはしっくりこなくても、段々と嬉しくなるはずです。
自分で自分をしっかりと認めてあげると、他人の見え方が変わります。

それでもやりたくない家事は、思い切って放棄したって大丈夫です。
その時はじめて誰かが助けてくれるかもしれません。
まずは期待しない在り方を手に入れて、夫婦お互いに謙虚な気持ちで話し合ってみてはいかがでしょうか。

(文・亀山 美千代)

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