
子どもに対して「ダメ」とか「どうせ無理」といったマイナスの言葉がけをしてはいけない、とよく言われますよね。
それにはさまざまな理由があったのです。
忙しいワーママこそ、子どもにかける言葉を大切にした方がいい理由についてお話しましょう。
理由1 子どもがプラス思考になるから
言葉には「暗示」あるいは「予言」の効果があります。
これはスピリチュアルでも何でもなくて、聞こえた言葉の意味を脳が覚えていて反応するんでしょうね。
「君は将来社長になるよ」と言われながら育って実際に会社を興したという方や
「きっと世界で活躍する」と言われて外交官になった方もいます。
逆に「あなたは本当に計算がダメね」と言われ続けて算数ではとても苦労した子もいます。(私がその一人です)
プラスの言葉をかければプラスに動く、マイナスの言葉ならマイナスになる、あたりまえですよね。
理由2 子どもの学力がアップするから
以前取材でお会いした中学受験のプロフェッショナルの先生は「国語の成績は家庭の言語環境にかかっている」とおっしゃっていました。
さらに、全ての科目の基本は国語力なのだそうです。
たしかに、教科書もテストの問題文も、すべて文章で書かれていますよね。
でも、親が子どもに「早く早く」「さっさとしなさい」とか決まり切った言葉ばかり投げかけていると子どもの言葉の数(語彙)が増えにくいんですね。
ボキャブラリーが足りないと読解力があがりにくく、結局国語力が高くならない、ということだそうです。
たとえば「早く」と言いたいときの言い換えひとつとっても
「お母さん早く行きたいけど協力してくれない?」
「○時までに朝ご飯食べちゃおう!」
「どのくらい早くできるか見せて」
「早いね!」(暗示・予言効果をねらう)
など、さまざまなバリエーションがあります。
言葉でごまかして子どもを動かしている……というとらえ方もできますが、次々と繰り出す親の言葉の工夫が、子どもの語彙力を増やす素になっているのではないかと思うのです。
理由3 親子関係がよくなるから
例えば単語で「ジュース」とだけ要求する子に無言で手渡す親と、「のどが渇いたからジュースください」、「はい、リンゴジュースですよ、どうぞ」という言葉のやりとりがある親子とでは、後者の方が親子関係がよい、という印象を受けますよね。
子どもとの会話では言葉の数が多い方がコミュニケーションが多くなり、言葉の力も、イメージする力もよりたくさん鍛えられます。
子どもとの会話のキャッチボールは内容よりも数が大事です。
理由4 コスパ最高、お金も時間もかからないから
言葉を変えるだけならお金も時間もかかりません。
忙しいワーママだって、今すぐにでもスタートできます。
独り言から変えたっていいんですよ。
理由5 ママ自身にとってもプラスになるから
自分自身の発する言葉を一番最初に聞いているのは自分です。
「ダメ」「汚い」「やめて」などの否定的な言葉を毎日言っているとしたら、一番それを聞いているのは自分自身。
理由1で説明した暗示の効果で、気持ちがどんどん落ちていきます。
だから、優しい思いやりのある言葉に変えましょう。
そうすれば当然、自分に聞こえてくる言葉が、優しく思いやりのあるものになり、それだけでほんの少しだけ、気持ちのとげとげが和らぎます。
毎日忙しく一生懸命働いて休む暇がないんですもの、言葉だけでも自分自信を労ってあげましょう。
言葉を変えるには…
子どもへの言葉を変えると変わってくるもの、何となくイメージしていただけたでしょうか?
「こういうときどうしたらいいの?」というヒントは、私の拙著『子どもを伸ばすママの言葉がけ 言ってはいけないNGワード55』にも書きましたが、ほかにも多くの書籍が参考になります。
書店や図書館などで「言葉がけ」についての本を見てはいかがでしょうか。
(文・曽田 照子)