<大王製紙エリエールレディス 3日目◇22日◇エリエールゴルフクラブ松山(愛媛県)◇6595ヤード・パー71>
硬くて、速いグリーン、激ムズのピン位置に多くの選手が苦しめられた。バーディ合戦、伸ばし合いが常のエリエールGC松山が、この日は超難関コースと化した。
出場した53人の平均スコアは72.3774。2020年にパー71となって以降、決勝ラウンドのスコアがオーバーパーとなったのは21年第3ラウンド(R)の71.0172以来2度目で、昨年の第3Rの68.7593とは別のコースような我慢比べの一日となった。
そのなかで、木戸愛が3バーディ・1ボギーの「69」と伸ばし、トータル9アンダーで4位から2位に順位を上げてきた。「いいショットも、いいパットもあって、ラッキーもあった。トータルで良かったと思います」。
16番でこの日唯一のボギー。ラッキーは直後の17番パー5で訪れた。グリーンを狙ったピンまで218ヤードの2打目はピンハイまでキャリーで飛び、グリーンを飛び出した。奥はOB。だが、ボールはイントレと呼ばれるテレビカメラを乗せる組み立て式の足場に当たって止まっていた。救済を受けてドロップゾーンからの3打目をピンそば1メートルに寄せて奪った貴重なバーディ。35歳のベテランはにっこり笑った。
「2打目はかなり風がフォローで、ライは左足下がり。いい球が打てたけど、ちょっと強くなっちゃいました。奥で止まってくれているかなと思ったら、本当に止まっていました」
2019年にシードを手放した。そこから続く低迷を脱出するために、2023年12月に意を決して尾崎将司のもとを訪ねた。押しかけの弟子入り。「来るのが遅いんだよ」と笑って迎え入れてくれたジャンボの「とにかく振れ」の教えを忠実に実践し、ここまでやって来た。
前日はひと回り以上年下の姉弟子、佐久間朱莉が年間女王を決めた。「きょうの朝、おめでとうという言葉を伝えました。本当にすごい。尊敬する気持ちと、私自身もしっかり頑張っていきたいと思いました」。この日のプレーは有言実行。粘り強くパーを重ね、順位を上げた。
12年「サマンサタバサレディース」での初優勝から13年が経過した。2勝目のチャンスは何度もめぐってきたが、どうしても届かない。首位で最終日を迎えた7月の「JAL・資生堂レディス」はプレーオフで永峰咲希に敗れた。
「今週は初日から自分のやることに集中できている。最終日もやり抜くだけ。気負わずプレーしたい」
メルセデス・ランキングは42位。シード復活は確定しているが、来週の今季最終戦「JLPGAツアー選手権リコーカップ」に出場するには優勝しかない。ラストチャンスにかける最終日。勝てば13年124日ぶりの2勝目で、1988年のツアー制度施行前も含めて最長ブランクVとなる。
優勝争いのたびにセットとなるブランクV。今度こそ、“食傷気味”のはずの話題にピリオドを打ち、最終戦の舞台となる宮崎に乗り込む。(文・臼杵孝志)
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