日本女子OPで戦う10人の “宣言プロ”たち  JLPGA入りを目指す22歳の決意「ここに頑張って出よう」

<日本女子オープン 初日◇2日◇チェリーヒルズゴルフクラブ(兵庫県)◇6616ヤード・パー72>

プロアマを問わず女子ゴルファー日本一の称号が争われる大会では、学生はもちろん、日本女子プロゴルフ協会(JLPGA)のプロテスト合格を目指す選手たちも多数出場している。
そのなかには、すでにアマチュア資格を放棄し、ゴルフで生計を立てている選手も多い。“プロ”という肩書は、なにもJLPGAの正会員だけのものではない。アマチュア選手は大会に出場しても受け取れる賞金に制限があるが、ゴルフで生活する、いわゆる“宣言プロ”と呼ばれる選手であれば、順位に応じた賞金を受け取ることができる。

初日を3アンダーで終えた22歳の久世夏乃香(くせ・かのか)も、そんな宣言プロのひとりだ。2年前の夏に“@”を外した理由について、こう明かす。

「もともとは(JLPGAの試合の)マンデートーナメント(主催者推薦選考会)を受けたりしていて、アマチュアのままでもいいかなと思っていたんです。でも一番大きかったのが、アマチュアとしてテレビマッチに出演し、勝ち抜いたけど賞金がもらえず、悔しかった。マンデーも(通過できるのは)数人で難しいし、ステップ(・アップ・ツアー)にも3年くらい出て経験も積めた。そのタイミングで、プロ宣言をしている人たちと一緒にやりたいと思いました」

もちろん、プロテスト合格を目指すためには資金も必要だ。久世は大阪出身で、関東を中心に行われるミニトーナメントに出場するにも遠征費がかかる。「いろいろな試合に出たいという気持ちがあった。行った分(経費)はもらいたい。20歳になったタイミングだったし、ちょうどいいかな」。そこでゴルフで稼ぐことを決断した。

現在はプロテスト合格を目指す25歳以下の選手のツアー「マイナビ ネクストヒロインゴルフツアー」(以下、ネクヒロ)などに出場し腕を磨く日々。「頑張れば頑張るだけお金ももらえるし、いろいろな人が応援してくれる。ネクヒロの人もすごい上手でみんなプロ宣言をしているから、刺激になります」。その決断は、しっかりとモチベーションにもつながっている。

現在のJLPGAの規定では、プロテストに合格した正会員以外は、QTを受けることや、推薦でトーナメントに出場することはできない。かつては非会員でもツアーに出場できる『TP単年登録制度』があったが、それも今は廃止されている。現在は閉ざされているツアー出場への道。そのなかで久世の大きな目標になっていたのが、「ここに頑張って出よう」と話す、この「日本女子オープン」だった。

今年で3年連続3度目の出場。初めて“プロ”として出場した昨年大会を含め、過去2年間は予選落ちを喫している。「いつも会えないプロばかりで緊張します」と言うが、そこで今年はいいスタートを切ることができた。「予選は通りたいですね。4日間プレーしてみたい」。貴重な経験を得られる大舞台というのも、その想いを強める理由だ。

2021年から挑戦しているプロテストでは、これまで4度すべてで最終に進みながら、あと一歩、合格に手が届かなかった。「去年の大洗(ゴルフ倶楽部)は難しくて、ホールインワンもあったのに2打足りなかった。でも去年より経験も増えて、成長もしている」。今年も11月4~7日に行われる最終プロテスト(岡山県・JFE瀬戸内海ゴルフ倶楽部 )に進出。あと一歩を乗り越えたい。

久世のほかにも、史上初めて男子ツアーのメンバーになった寺西飛香留(25歳)や、久世とともにネクヒロでプレーし最終プロテストにも進出している佐田山鈴樺(25歳)、商崎鈴菜(24歳)ら10人の“宣言プロ”が今大会に出場している。JLPGAツアーを目指し、自らの力でゴルフに打ち込む彼女たちの活躍にも注目したい。(文・間宮輝憲)

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