
SUV発祥の地、アメリカ。“アメリカンラグジュアリーSUV”というジャンルがあるほど、プレミアムなフルサイズSUVが定着している。その代表格がキャデラックで、そんなキャデラックから登場したのがリリックだ。キャデラック初のEVモデルだけに興味津々、その実力のほどは!?
■フルサイズのボディから漂う重厚感と存在感
リリックはキャデラック初のEVとして登場した。しかも、ガソリンモデルをもたないEV専用車ということで、大いに注目を集めている。フルサイズ、そしてラグジュアリーSUVの代表格キャデラックだけに、EVになるとどうなるのか、確かに気になるところだ。
まずそのサイズから見てみると、全長は4995mm、全幅は1985mmとほぼ5m×2mと、文句なしのフルサイズ。実際に見てもドンと構えた感があって、注目度は高い。一方、全高は1640mmとかなり低めなので、無駄に大きすぎて日本の路上で目立ちすぎることもなく、逆に品の良さを感じさせる理由となっている。
エスカレードなど、キャデラックのSUVというと、直線を基調にした押し出しの強いデザインでお馴染みだが、リリックに関しては曲線をうまく取り入れた今までにないデザインテイストでまとめられている。EV時代のキャデラックをうまく表現していると言っていいだろう。まさにアメリカンラグジュアリーEV、ここに誕生だ。
■車内全体が先進性を全面に押し出していないのが好印象
車内の印象はというと、ありがちな先進性や未来感を重視したギラギラした感じはなく、今までキャデラックが培ってきた質のいい高級車のテイストを引き継いでいる。これなら飽きることなく、愛車としてじっくり付き合えるだろう。
そしてなんといってもうれしいのは右ハンドルということ。ボディサイズを考えると、右ハンドルのほうがありがたいのは確か。操作系もシンプルで、33インチの横長モニターに集約されているので操作しやすいのも好印象だった。
■ラゲッジは余裕たっぷり! 細かな機能にも注目
気になるラゲッジ容量は793リッターと十分なスペック。後席をたたむと1722リッターまで拡大できる。後席は分割可倒式なので、左右別々にたためて、3人でゴルフ場に向かうのも可能だ。またラゲッジ下にも収納スペースが用意されているのもうれしい。
■EVならではのパワーはスポーツカー並み!
アメリカ本国ではRWD(後輪駆動)も用意されているが、日本仕様は4WDのみ。つまり前後にモーターを搭載するわけでトータルでの出力は522馬力とスーパーカー並みを誇る。その大パワーを4つのタイヤすべてを使って路面に伝えるのだから、その気になれば爽快すぎる加速を楽しむことができる。もちろん2650kgという車重をまったく感じさせず、コーナーでは逆にどっしりとしていて、ブレることもなく不安もない。ただし、そこはアメリカンラグジュアリーだけに、飛ばすのもいいが、大パワーを活かしてゆったりと流すのが似合っているだろう。
そしてEVで気になる一充電あたりの航続距離は510kmと長く、実用上問題になることはないだろう。充電方式も日本市場に合わせているので、日々の使い勝手でとくに問題になることはない。
CADILLAC LYRIQ SPORT
◆全長_全幅_全高:4995×1985×1640mm ◆車両重量:2650kg ◆モーター形式:交流同期電動機 ◆総電力量:95.7kWh ◆システム最高出力:384kW(522ps) ◆システム最大トルク:610N・m(62.2kg-m) ◆ミッション:─ ◆WLTPモード一充電走行距離:510km ◆定員:5人 ◆価格:1100万円
写真・文/近藤暁史【MUSHROOM】
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